* Innocent *
「裕太くん」
「なんですか、観月さん」
「裕太くんは…その、僕のことをどう思っていますか?」
「……は?」
部活中突然訊かれたこと。
オレにはどうすればいいのか分からなかった。
このどう思っているっていうのは、どういう意味だ?
優しい怖い、それとも好き嫌い…何についてだ!?
「あの、観月さん。意味がよく分からないんですけど…」
「…ならいいです」
「あ、ちょっと待ってくださいよ」
思わず振り返る肩を掴む。
それがあまりにもか細くて、オレはビクッと手を離してしまった。
少し癖のある髪の毛の隙間から。
観月さんはこっちを睨むようにしていってきた。
「気にしないで下さい」
「―――」
それ以上は、何も言うことができなかった。
そのときの観月さんの眼は、鋭くて、冷たくて。
でもどこか寂しげだった。
「…もしかしたら僕は、貴方に謝らないといけないのかもしれません」
それだけ言い残すと、踵を返した。
離れていく背中には、届きそうだったのに手が伸びなかった。
どういうことだ?
考えても分からない。
だから考えるのをやめた。
でも、一つだけ思うこと。
謝らなきゃいけないのは、オレのほうなのかもしれない。
ユタミヅかミヅユタか微妙。そして滅茶苦茶ギルティー。
2003/07/08