* Good job! *
颯爽とした雰囲気の氷帝学園テニス部。
今日も部員総勢200名が元気に活動中。
少々ピリっとしたイメージも漂わせるこの空間。
その中にも、癒しというものは存在するわけで。
「うわっ!スッゲーなぁ!!」
中等部3年、芥川慈郎である。
唯今レギュラー同士のラリー。
相手は同じく3年跡部景吾。
先ほどから、目はランランに輝きっぱなしである。
「絶対ストレートに来ると思ったのに…あそこからあんな角度でクロスだもんな」
「まだ甘ぇよ」
「いんや!次は取る!!」
ピョンピョンと跳ね、リズムを整える。
あとはネット越しに張り付いて、相手の攻撃を予測。
「次はきっとクロスと見せかけてストレート!!
…と思ってやっぱりクロスだったぁ!」
ネット越しから、思わず跡部は笑った。
「お前の動きは分かりやすいんだよ」
「なんだよそれー」
地面に尻餅をついていたジローは腰を持ち上げた。
そして、また構えの姿勢を取る。
「次こそは絶対!取るっ!」
「やってみろよ」
目付きを変えたジロー。
跡部は不敵な笑みを見せた。
また、ラリーが始まる。
ボールを暫く打ち合い、跡部が勝負を掛け始めた。
その時。
「…見切った!」
跡部がボールを打つか否か、ジローは駆け出した。
嬉しそうな表情で。
そして、まさにすぐそこに打球は飛んできたのだ。
「やりっ……うわっ!」
しかし、ボールは素直にバウンドしてはくれなかった。
結局、ジローの振ったラケットは空を切ることになっていた。
「げー。なんだ今のー!反則っ!」
「反則もクソもねぇよ」
「んー…悔C→!!」
地団太を踏むジロー。
跡部はその様子を見ながら穏やかに笑い、言った。
「ま、追い付けただけいいんじゃねぇの」
「ホント!?」
言われ、また嬉しそうに立ち上がる。
瞳の輝きは、失われることはない。
「よっし、次こそ絶対絶対取ってやる!」
「どうだか」
ボールのやり取りは、いつまでも続いた。
余談。
「……なぁ侑士」
「なんや」
「跡部ってよ…ジローにだけ甘い気がしねぇ?」
「…せやな」
他の部員がこんな噂をしていたのは、
まあ余談なので流して結構です。
私の跡ジロ観はこんな感じ。忍岳もね。
2003/07/06