* eyes *












「ねぇ、不二はさぁー」

「ん?」

「オレのどんなところがスキ?」


横を歩く不二。

少し早足になって数歩分前に出て振り返った。

不二はいつも通りの笑顔で、んー、とちょっと考えると言ってきた。


「目…かな」

「め?」

「そう、目」


にっこりと言う不二。

でも、なんとなく疑問。


「…なんで?」

「なんでって…真っ直ぐな瞳、かなぁ」


真っ直ぐな瞳…。

なんかそういうのって照れるにゃぁ。

でも、不二はオレのそんなところが好きなんだ。

ちょっと意外といえば意外だけど、

オレもその気持ち分かるや。


「じゃ、次はオレが不二の好きなところね」

「うん」

「オレもスキ、不二の眼」

「―――」


完全に正面に回り込んで、後ろ歩きになりながらオレは言った。

不二は、ちょっと驚いた顔をしてた。

オレが止まると、不二も足を止めた。


「なんかさ、透き通ってるのに凄く深くて奥が見えないって言うか…」

「それって誉めてくれてるのかい?」

「誉めてるよ!凄く綺麗だもん、不二の目。大好き」


言うと、不二はにこりと笑顔になった。

瞼を伏せて、柔らかそうな表情。

この顔も好きなんだけど、深い瞳が見えないのはちょっと残念。

えい、と不二の顔を両側から挟みこむように軽く叩いた。


「だからさ、いつももっと目、キラキラーって光らせてればいいのに」

「そうは言われてもなぁ…」


顔付きだから、と不二は言った。

手を外すと、オレは口を尖らせながらくるりと正面を向き直った。

そして、また歩き出す。


不二は少し小走りになってオレのすぐ横に並ぶと、言ってきた。


「英二」

「んー?」


あくび混じりに振り向くと、

そこには鋭い笑顔をした不二。


「僕の眼を見たかったら、僕を本気にさせてね」


それだけ言うと、またにこりと穏やかな笑顔になった。

オレもつられて笑顔になってることに気付いた。


「それはなかなか難しいねー」

「そう?」



正面から当たってくる夕陽を見ながら、

不二の眼は今何色をしてるんだろう、と思って歩いた。





















二人の眼が好きさ。そして不二CD発売おめでとう。


2003/07/04