* Birthday gift *
青い空はいつもと同じ。
歩く道もいつもと同じ。
ただ、少し違う気持ちだけを抱えて、学校に着いた。
「はよー」
「おはよう、桜井」
学校に居る仲間も、いつも通りだ。
特に変わっていて欲しいとも思わないし。
でも、知られていたい…と思う。
「石田」
「ん?」
「今日オレの誕生日って知ってたか?」
訊くと、何かを思い出した風になった。
「そういえば昨日部活でそんな話になってたな」
「神尾の暴走で終わったけどな」
「はは、確かに」
笑う石田の顔を見た。
こいつの横に居ると首が疲れるな、と思いながら。
見上げていると、向こうは言ってきた。
「…何か期待してる?」
「期待?別にしてねーけど」
言葉の意味が分からず否定した。
すると石田は「そうか」と言って笑った。
こいつは、たまにとてつもなく優しい笑顔をすると思う。
「じゃあ、期待以上のものになるけど」
差し出されたのは、一つの箱。
そんなものが来るとは予想していなくて、オレは瞬きを繰り返した。
「…これ、オレに?」
「他に誰が居るんだ」
「そうだよな。サンキュー」
早速受け取って開けてみると、リストバンドだった。
石田は少し照れた風な表情で言ってきた。
「これから暑くなるからな。どうかと思って」
「スゲー。なんか感動した。お前ってこういうのまめなのな」
「そうか?」
話しているうちに時は過ぎた。
リストバンドは今日の部活で早速使おうか、
と思ったところでチャイムが鳴った。
二人で祝った誕生日。一方通行のおめでとう。
2003/07/01