* 写真 *
過去の写真を見ると、
意外なことに気付いたりする。
「何これ、英二が小さい頃?」
「ん?あ、そうだよ」
「やー可愛い〜」
それは英二の家に遊びに言ったとき。
居間に置いてあった写真立てを見て。
「みんなで海に行ったときに取ったんだ。10年ぐらい前かも」
「どこの誰よりも小さいよ」
「五月蝿い!末っ子なんだよ」
父親の腰辺りまでしかない身長。
短く切られた髪。
浅黒く焼けた肌。
「今にもやんちゃ坊主って感じ」
「そう?」
「でもほっぺにパンソコは無いね」
「あ、これね…」
英二は右頬に手を当てると一瞬切なげな表情になった。
…何かあるのか?
深くは突っ込まないでおこう。
流しましょう。そうしましょう。
「人って変わるんだね」
「そりゃあいつまでも一緒って訳ないっしょ」
「あ…でもさ」
「?」
写真立てを元の場所に戻すと、
私は英二の顔を覗き込みながら言った。
「一つ変わってないもの、あるよ」
「にゃ、にゃに?」
「えへへ、それはね」
にこりと微笑んで、言った。
「英二の眼」
「――」
大きな目をぱちくりと瞬きさせる。
ここはきっと、一生変わらないのかなと思う。
「大きくって、くりくりっとしてて、なんか…光ってる」
「…そうかにゃ」
「うん」
瞳の輝きは永遠?
そんなことを考えて、一つのことを思いついた。
「ね、英二」
「にゃに?」
「写真撮ろっ!」
何年も後になって
その瞳の輝きを
また確かめることが出来るように――。
記念としていつまでも。
2003/06/17