* 予定は未定 *












 まことに、現実というのは思い通りにいかないもので。



「……今何時?」


休日の朝。

枕元に置かれる目覚まし時計は正午を指していた。

…朝8時は起きようと計画していた私はいずこ。

なんとも、テスト前日の有意義な過ごし方でありますこと。


「自分に皮肉使ってる場合じゃない…」


布団から飛び起きて、素早く身支度をする。

ああ、昨日立てた計画が丸潰れだわ。


急いで勉強を始めることにする。

しかし、いつの間にやら友人とのメールのやりとり。

はっと気付いてそれは切り上げる。

教科書でも読むかと思ったら、広げているのは漫画。

何やってる自分と叫びたい気持ちでノートを探しているうちに、

偶然見つけてしまった雑誌に読み入っている。


「…ダメじゃん、これじゃあ!!」


漸く自分の愚かさに気付いて、

今度こそ本気で問題集を解き始める。


「……あ〜あ」


本当だったら今頃勉強なんか終えてるはずだったのに。

昨晩立てた計画は見事に崩れ去ったのであった。


「本日はいいことなし、ですかね」



予定は未定。

そう心の中で唱えて溜め息をついたとき。


『ピーピロリ〜♪』


携帯の着信音が鳴り、私はしまった、と思った。

ここで友人からの電話でも掛かってこようものなら

3時間掛かりの長電話である。

すぐに切ろう、と思って出てみたら…。


「よぅ」

「!」


思いがけない相手に、私は固まった。

まさか、私に掛かってくるなんて…。


「これからどこか出かけねぇ?」

「はい!出かけますとも!喜んで!!」


電話を切った後、私は優越感に浸っていた。


誘われちゃった。憧れの人に。


今日は勉強する予定だったのに。

ま、予定は未定ってことで。

幸せだったら、それで良いじゃない?





そして翌日、前に置かれるテスト用紙を前に、

私は後悔することになる。



 まことに、現実というのは思い通りにいかないものである。























どうせ上手くいかぬなら、当たって砕けよ、玉砕せよ。


2003/06/09