* 鍵をかけて *
「…深司」
「ん?」
「…なんでもない」
「じゃあ呼ばないでよ」
「ごめん」
脈絡のない単調な会話。
いつも一緒に居て、
いつも一緒に喋って。
繰り返される会話は、いつも一緒。
まるで鍵をかけてしまったようで。
ねぇ、深司。
いつになったら…
「笑って、くれるの…」
「?」
「あ、ゴメン。独り言…」
貴方の表情を見ると、不思議な気持ちになる。
寂しくて。
切なくて。
愛しくて――。
「……何?」
「ううん。ただ、こうしていたいだけ…」
「…好きにすればいいけど」
貴方の胸に潜り込んで。
顔を埋めて温もりを感じて。
それが幸せだと思うから。
ねぇ、もしも鍵をかけるのだったら。
私を内側に閉じ込めてちょうだい。
ロックイン。
2003/06/06