* 我慢できない *












「それじゃあ先生は用事があるので自習していてください」


そう言うと、教室から出ていってしまった先生。

ドアが閉まって3秒後、皆が弾けたように騒ぎ出す。


まあ、そうだよね。

自習=遊ぶor寝るの世の中だものね。

私は…どちらかというと割りと真面目に勉強する方だケド。

…といいつつ、机の上には友達に手紙を書くべく

メモ帳が広げられていたりするのだけれど。へへっ。


カリカリと鉛筆を紙に滑らせていく。

教室の中はみんなのお喋りで騒がしい。

そんな中、隣から掛けられた声。


「ねぇ」

「ん?」


何を隠そう。

隣の席にいるのは、私の片想いの相手の越前君。


「どうしたの?」

「寝るから…先生来たら起こして」

「え、えぇっ!?」


すると、了解の言葉も反論の言葉も

述べる間もなく、目を伏せていた。

うわ〜…。


まあ、とりあえず頼まれたことだけは守ろう、

と思いつつ手紙の続き。

手紙の中に、「横で越前君が寝てます!」なんて

近況報告…というか実況中継?しちゃったりして。


そしてその寝顔を見るうちに、思った。

睫毛長いな、とか。

整った顔してるな、とか。


「……っ!」


頭の中に浮かんだ言葉を、私は必死に掻き消した。

だって、だって、そんな……。


可愛い、だなんて。


同い年の男の子にどんな感情持ってるんだろう、

と自分で自分の考えに恥ずかしくなってしまった。


だけど、隣でそんな表情されたら…ね?


この賑やかな教室の中。

思わず小声で呟いてしまいそうです。


 好きだ、って。



鼓動は、意識に関係なく速く打っていく。























伏せられた長い睫毛にときめいてみた、マル。


2003/06/05