* 見つけた。 *
「越前くん…休みですか?」
「……」
出席のとき、返事をしなかった貴方。
後ろを振り返ると、そこにあるのは机と椅子だけ。
休み?どんな理由で。
昨日は元気そうだったから風邪をひいたとも思えないし。
怪我?まさかなぁ…。
どうしたんだろ。
忘れ物をしたときみたいな気持ちになって。
私はなんだかそわそわしていた。
何かが足りないみたいで。
ずっと何かを探してた。
「リョーマ君!」
「――」
それは、2時間目の休み時間のこと。
飄々と教室に入ってきた貴方。
それを見て、私は一言「居た」と呟いていた。
友達に遅れた理由を質問されると、
寝坊した、とただ一言答えていた。
その様子に、くすりと微笑してしまった。
次の授業。
遅刻の理由を先生に訊かれた貴方は、
迷子の子を交番まで連れて行っていた、なんて言い出して。
私は笑いを堪えるのが精一杯だった。
ああ、いつも通りの貴方だ。
探し物が見つかったような気持ちになって、
なんだかとってもすっきりした。
午前中一人でキョドってました。自白。
2003/05/28