* 欲しいんだ。 *
斜め前に座る彼。
女の私から見ても、綺麗だと思う。
肌は滑らかだし。
整った顔してるし。
仕種も落ち着いてるし。
初めは、羨ましいという思うような、
そんな気持ちだったのかもしれない。
それはまるでアイドルを見るかのような、
そんな眼差しだったのかもしれない。
だけど、今は―――…。
「…観月くん」
「なんですか?」
振り返る貴方に、とくんと心を弾ませて。
「話が、あるの……」
意味さえ変わってしまったけれど、
貴方の事が、欲しいと思うんだ。
伸ばした手は、貴方の心に届くでしょうか。
憧れが恋へと発展するという有り勝ちな話。
2003/05/27