* CD/MD? *
「あー!こりゃ参ったな」
「――」
隣の席の人の叫び声を聞いたのは、
五時間目を終えた休み時間。
「どうしたの?」
「いや、これがよ、オレのMDプレイヤー壊れちまって!」
「えー…どこが?」
「起動しねぇんだよ!うんともすんとも」
ふーむ、と手にとって見てみる。
特に異常は無さそう。
充電もしてあると本人は言い張るし。
「うーん…これは諦めた方がいいね!」
「うわっ、そりゃひでぇな」
「扱いが悪いんじゃないのー」
「そんなことねぇ!…とは言い切れない…」
言葉や動きが面白くって、ついつい笑ってしまう。
いいな、桃城って、なんか。
一緒にいると、楽しいんだよね。
「くっそーオレのMD!!」
「まず学校に持ってくるのが間違ってる」
「そういうお前はどうなんだよ!」
思い切り指差された私は、
自分の耳から繋がっているコードに指を伝わせて、
桃城の持っていた機械より一回り大き目のそれを手にした。
「私?これはCDプレイヤーだから」
「…理由になってるのか?それ」
「ううん。正直なってない」
そして、二人で大笑い。
こんな関係が好きだと思う。
「で、お前ってどんな曲聴いてんの?」
「…一緒に聴く?」
隣の机の上には、壊れたMD。
私のポケットの中には、CDプレイヤー。
そこから一本出ているイヤホン。
分かれている部分を、一人一個分け合って。
わずか数分間の休み時間、そう過ごした。
これくらいの距離で、居たいと思う。
お大事に。
2003/05/22