* 君と僕と  ? *












「ちょっと英二、はーなーしーてっ!」

「嫌だよーん。うりうり〜」


本日も、菊丸英二は私に纏わり付いてくる。

それはもう、しつこいくらいに。


『キーンコーンカーンコーン…』


「うぁー、残念。それじゃ、また後でね」


また後で来るんですか…。

そりゃあ、人に好かれて嫌な気はしないけど。

だけどここまでくると…ねぇ。

少しげっそりしながら、自分の席に戻る。


「あー、やっと離れた…」

「毎日ご苦労様」

「どーもっ」


隣から皮肉交じりに言ってきた不二君に返す。

私が好きなのは、寧ろこの人の方なのだけれど。


「英二もよく飽きないよねー毎日毎日」

「ホント。そろそろ飽きてくれって感じ」

「はは、やられる側も大変だ」

「それはもう」


何より、貴方に見られているのが辛いんですよ、不二クン。

その辺を分かってるんですか、ねぇ?

だからといって相手を傷つけるほど

キツイ言葉で振り払うことも出来ない私。


こんな私は、貴方の目にはどう映ってるの?


「…好きなの?英二のこと」

「私が?まっさかー!」


考えていると、良過ぎるぐらいのタイミングで訊かれた。

私は爽やかに否定する。

だって、本当に違うんだから。


「英二が人に抱き付くなんて、癖みたいなものだからね」

「…不二君?」

「まさかさ、英二と両想いとか思ってないよね?」

「え、ないない!そんなこと全くない!!」

「それならいいんだけど」


何を言い出すのこの人はっ!

しかも、それは私が一番されたくない誤解なのに…くぅ。

確かにじゃれ合ってるかもしれないけど!

それは英二が必要以上に私に構ってくるだけで!

私にはそれを無理に振りほどくほどの力はないだけなの!

本当に好きなのは…英二じゃなくて、貴方の方なんだから。


 気付いて、よ……。


「別に英二が好きとかじゃないの?」

「だから違うって!友達!こればかりは本当よ」


必要以上に力が篭る私。

ところで…向こうも同じく、ですか?

なんだかさっきから不二君の目が大きく見開かれてるのは、

私の気の所為ですか……?


「なんていうか、君と英二が付き合うとかいうと、凄くショックなんだよね」

「…どうして?」


……え?

これって、もしかして凄く期待していい展開ですか!?

と思ったら…。


「だって、英二は僕の好きな人だから」

「……はぁ?」


マジですか!?

…え、えぇっ!?


「…本気にしてないよね」

「うん、してないよ」


…真顔で切り返せた自分に万歳。

ああ、そうよね、そうだよね。

勿論冗談に決まってるよね、うん…。


「…君と、僕と……」

「へ?」

「いや、なんか面白い関係に居るみたいだね、僕たち」


言うと、不二君はにっこりと笑った。

その言葉の真相は、私には分からぬままです。























リサイクルマークのような関係ね。


2003/05/21