* 同胞クラスメイツ *












もう私たち出会ってから20年も経ってるよ、
と同窓会で話したことも1年以上前の記憶。

当時は中学だった私たちもすっかり大人になって、
結婚して子どもが生まれて忙しくなったり
一周回って子育てに余裕が出てくる人もいたり、
参加するたびになんとなくメンツの変わる同窓会。

「(だけどあの人は、一度も来ない)」

きょろりと会場中を見渡す私の頭を
ポンと叩かれて振り返ると、
それは中3当時の親友の姿。

、よく来たね!」
「今日は子どもたち実家に預けてきたー!
 うちの親も孫の面倒見るの楽しそうだからいいんだけど」

ひとたび肩の荷が下りた、という様子で
はぐるりと肩を回した。

中学時代は部活に明け暮れて
休みの日は一緒にカラオケで騒いで
テストの点が良かっただの悪かっただの
共に一喜一憂していたも、今は二児の母。
今でも連絡を取り合っている数少ない中学からの友人ではあるけど
それでも合うのは数年ぶりになるか。

さ」
「ん?」
「今、探してたでしょ」

何をとか誰をとか言わなかったのは、
示さなくても私には伝わるだろうと思ったんだろうし、
周りに聞こえないように配慮してくれたのだろう。

中学3年生当時、私には恋をしているクラスメイトがいた。

「……別に」
「はいーーー『何を?』って言わない時点で頭に浮かんでるでしょ!
 わかりやすいなーは」

よしよしと頭を撫でてきた手を軽く払う。
でも、格好つかないけど、の言う通りだった。

「まあ、正直探した」
「やっぱねー!」
「別に今更どうこうなりたいとかじゃないんだけど」

言い訳でもなんでもない事実を述べて、
そのあとに、もう一つの真実。

「元気にしてるのかなって、気になっただけ」

つぶやきのように漏らしたその言葉は、
喧騒の大きくなっていくこの空間で
しっかりと私の友人の耳に届いただろうか。

特に聞き返されることもないまま、
は「そうだ」と言ってスマートフォンを弄りだした。
そして「見てこれ」と画面を差し出してくる。

そこに居たのは私の見たことがない彼――大石くんの姿だった。

「何この写真、どうしたの」
「この前陸部のメンバーで集まってさー。
 一人が菊丸と同じクラスでこの写真持ってたから
 に転送してあげよーと思って」

私の記憶の中の彼よりも遥かに大人びていて、
笑っていて。

姿が見えなかったあとも君は元気にしていたんだ。
中学当時に名言していた夢を叶えたんだ。
私なんかが計り知るはずもない場所で
彼自身の人生を歩んでいたんだ。
そう考えるだけで胸が一杯になる。


「ん?」
「とりあえず、写真転送して」
「やっぱ今でも好きじゃん」

そういうわけじゃない!と声を張り上げる私に
はケタケタと悪い笑顔を見せてきた。
少しずつ姿は変わっているのに
笑い方は当時と変わらないなぁと
さっき大石くんの写真を見たときと同じ感想を抱く。

おくったよーと同時に震えたスマホの画面を見て、
もう二度目になるのにその姿に胸がぎゅっとなる。

「ところでこれいつの写真?」
「さあ?でも10年前とか?」
「10年前……」

中学当時から一度も姿を見ていない君の
未来の姿を見つけたつもりで
胸が一杯になったけれど。

ああ、君は今、どこで誰とどのように過ごしているのだろう。

それがわからなくては、
私は君を想うことも上手くできない。

ただ、元気で笑っているのかなって、やっぱりそこだけはどうしても気になってしまった。
























味方フレンズに許斐先生が素敵な挿絵を描いてくださって
頭が爆散した勢いで書いた。
これは夢小説というより現実小説…(※造語)


2023/04/25