* Are you, the one? *












どうしてバレンタインデーからホワイトデーまでの間は
一ヶ月も開くのだろう。
好きな子からだったらすぐにでも返事はしたいし、
そうでないなら尚の事即座に返事をする方が誠実だ。

と、今までの俺なら思っていただろう。

しかし、今の俺は。



「(明日、どうしよう)」



バレンタインデーから丸々一ヶ月悩み続け、
ホワイトデーを明日に迎えてまだ結論を出せずに居た。

というのも、振り返ることバレンタインデー当日。
ありがたいことに、俺はたくさんのチョコレートなどの贈り物をもらうことができた。
いつもお世話になっているお礼、といった義理チョコもあれば、
呼び出されて想いを告げられることもあった。
その場合、想いに応えられないと判断してその場で断るようにした。
なのに。

たった一つ受け取った、手作りのチョコレートを俺は見つめていた。


良い子だとは思っていた。
強かなのに、どこか放っておけなくて、
一緒に居ると心地の良い空気を作り出す子だ。
だけど、好きなのか、と聞かれると答えに詰まる。

ここではっきり言い出せないような中途半端な気持ちでは相手に迷惑をかける。
そう判断して、しっかりと断りを入れようと、何度も考えたのに。


何故、引っかかっているのか。

さんに関してだけは。


「(…………ああ)」


そうか。
そうだったのか。
答えは誰より俺がわかっていたじゃないか。

受け取ったときに心から嬉しくて、
その場で断るような返事はできなかった。


そう。

ここに、
目の前に、
チョコレートがあることこそが答えだった。


改めて俺から告白しよう。
明日、ホワイトデー当日に。

そう思ったら、胸がドキドキしてきた。
朝、休み時間、昼休み…
状況を考えたけど、放課後が良いという結論に達した。
ということは、明日は一日中ドキドキしっぱなしということか。

それまで心臓が持つだろうか。
胸に手を当てて、大きく深呼吸。

意を決して、この一ヶ月大切に取っていた手作りのチョコレートを口に含んだ。
























えるしつているかこの大石は片思い(←)

『All for you, you for me.』の回想シーンにあたる部分の大石視点でした。
義理チョコ私たとしか思ってない夢主ちゃんの裏で
一人ドキドキしてるマヌケ可愛い大石が書きたかった笑
まあいいよね結局ラブラブなおしどりカポーになるんだから。

バレンタイン作品の遅刻を誤魔化すために抱き合わせのホワイトデー作を作ったものの
ホワイトデー前日メインの内容になってしまったから結局遅刻で草。
(もっと言えば半日時差があるところで書いて寝る前までは今日理論で投下したから日本時間レベルで言うと大幅遅刻)


2023/03/14