* 大浴場で大欲情? *












 寮の大浴場が閉まるギリギリの時間になってしまった私はなんとか滑り込もうと廊下を小走りする。こんな時間に入る生徒なんてほとんど居ない。もしかしたら寮長さんなんかと鉢合わせるかもと思いながら入り口に辿りついたとき、隣の扉がガラッと開いた。柔らかそうなシルク素材でできた花柄のパジャマを着たその人を見て、あっちが女子風呂だっけ!? と焦って看板を確認したけど間違いなくこっちが女子風呂だ。じゃあその男子風呂から出てきたのは誰だと顔を見ると、隣のクラスの観月くんではないか。

 喋ったことはなかったけれど、改めて間近で見ると綺麗な顔立ちで、特にまつ毛が長くて色も白くて全身の線が細い。これでは女子と見間違えそうになったことも許されたい。

「こんばんは」

 観月くんは柔らかく目元を細めてそう言った、のに背筋がヒヤッとしたのは何故か。聞こえてきた声は艶があるけど思いの外低くって、首は白くて細いのに喉仏がしっかり見えて、長めの袖から覗く手を見ると筋張っていて血管が浮いていて、男子だ、と思った。頭がおかしくなりそうだ。

 歩き去る観月くんを変にドキドキしながら会釈して見送ったとき、薔薇の香りがふわっと漂ってきて、私は完全に頭がおかしくなった。


























ファンブックで柳沢いわく
観月はお風呂の時間をずらして一人で入りたがるというので…w


2022/08/31