* Do you wanna eat me? *












「大石、食べていい?」
「何を?」

不二にされた質問に何気なく聞き返したまま
次の答えは返ってこなかった。
何かと思って不二の方を見ると
不二は真っ直ぐとこちらを見ていた。
そして目が合うと「何って君をだよ」と言ってのけた。

「何を言って…!」
「僕は本気だよ」

にこやかに笑って細められていた不二の目が、鋭く光る。
嫌な予感がして一歩下がったときには
不二はもう一歩近付いてきた。一歩、また一歩。

「僕ね、飢えてるんだ」

そう言葉が耳に届くのと、
背中が壁に当たるのは同時だった。
細くて冷たい人差し指が、俺の顎を下から持ち上げる。

「そう。その目。いいね」

端正な形をしたその口の端が、ニマリと持ち上がった。
俺が今どんな目をしているか自分ではわからない。
怯えたような目をしているのか、
はたまた軽蔑したような目なのか。
いずれにせよ前向きな感情ではないことは確かだが
不二は嬉しそうに目を細めた。

「もう一回聞くよ、大石。食べていい?」

背中を汗が一筋伝って、ぞくりと震えた。

不二のその視線に気圧されるように、
もしも「いいよ」と答えてしまったら…
俺はどうなっていたのだろう。
それとも「いいよ」と言っても同じ展開が待っていたのか。
「だめだ」と返したから、その答えはわからない。

不二は「アハハ」と大きな声を出した。

「冗談に決まってるじゃん。ヤだな」

そして俺の顎から指を外して一歩後ろに下がった。

冗談だったのか。
不二の冗談はたまにわかりづらい。

……冗談だったのだろうか。

「ちなみに、どんな想像をしてた?」

また不二の目が鋭く光った気がして、
「何も想像なんかしていないよ」とだけ伝えて背を向けた。
だから俺の返事に不二がどんな表情をしたか、俺は今も知らない。
























エアスケブリクで不二石書かせて頂きました!
シチュエーションのリクエストはなかったんですけど
自称「越知石と不二石に飢えているオタク」と
メッセージを頂いたのが面白かったので
飢えている不二にしてみました。笑


2021/09/12