* 究極のチーズサンドを目指して *












俺は宍戸亮。
何を隠そう、チーズサンドが好きだ。
二枚の食パンに一枚のチーズを挟む、たったそれだけの食べ物だ。
だけどこれは、単純だけど簡単じゃない。意外と奥が深ぇんだ!

俺は、究極のチーズサンドを求めてフランスに来た。
チーズサンドとあれば味を決めるのはチーズ、と安易に考えがちだが
まずはパンの物色から入ることにした。
なんたって、チーズサンドの体積の8割はパンだ。

チーズを邪魔するほど主張をしてはいけない、
しかし全くの無味では存在する意味がない。
チーズを引き立たせ、調和を取りながらも
己の存在はかき消されることがない…
そんなパンを探し出すことがこの旅の一つ目のミッションとなりそうだぜ。


試食は自由だと言われた。

眼前に並ぶ試食用に切り分けられたパンたちから、目についたものを一口ずつ物色していく。
まず一つ目…。


な、なんだこれは…!


〜稀少なフランスのマルセイユ地区産の小麦を使用したパン・ドゥ・ミは
プロヴァンスの空気その物をきめ細やかな気泡一つ一つに封じることで
一噛みするごとにその芳醇かつ壮大な香りを口中そして鼻腔に緩やかに弾き出させる逸品であった。〜


適当に食べた一品目からこのクオリティとは、この先にも期待が高まるぜ!次だ次!


今度もまた、違う美味さだと…!?


〜先程と同様パン・ドゥ・ミでありつつもローヌで作られたというそのパンを一口食むと
ワイン醸造にも使用されるというその天然酵母が醸した香りが口腔を満たしていった。
咀嚼を進めると唾液までもがフレグランスをまとったような芳香に満たされ思わず深呼吸をした。〜


これはもう既に最高級のパンに巡りあえてしまっているんじゃねぇのか!?
いや違ぇ、チーズサンドの固定概念に捕らわれるな!
敢えて違う種類のパンにも挑戦だ!



〜そうして手にしたバタールは表面がカリカリに焼き上げられていながら
内部は舌に乗せると蕩ける霜降り牛さながらの油脂感も想像させるほどテンダーな柔らかさで
バター由来の風味の良さと火の通った小麦粉が故の旨味は
隠し味程度に潜ませられている塩気によって絶妙にバランスが取られていた。〜


こんなパンが、まだまだあるだと!?
こうしちゃ居られねぇ!
ここにあるパンは全部食べて研究して、
そして、俺のオリジナルを作り上げる!
俺は絶対に、究極のチーズサンドを作るんだ!!





  **





鳳「と、いう夢を見たんだ」

日吉「どれだけ宍戸さんのことが好きなんだよ…」

























実際にこの夢を見たのは私ですw
> 宍戸さんが究極のチーズサンドを作るためのパンを探しに行くという小説を読んでて、
> ありとあらゆるパンが高尚な描写でめちゃくちゃ美味しそうに表現されてた。 (Twitterより)

まさか書くつもりなかったんだけど大好きなフォロイさんが
挿し絵まで準備して読みたいといってくださってはこりゃ書かないわけにはいかねぇとw
だけど私のパンに関する知識が不足しすぎててあんまクオリティ高く仕上がらなかったのは無念w
ここまでで限界ですね…夢の中では300Pくらいの文庫だったんだけどそこまで書ききれんw

こんなふざけた作品ですまないけど宍戸さんお誕生日祝いということで!w

※パンに関する情報は全てデタラメです(笑)


2020/05/10-09/29