* 訴えられれば逃げ場はない *












大石秀一郎は堅実なプレイヤーである。

学業は優秀で委員長を務めるなど品行方正な生徒であり、
部活では副部長でありレギュラーメンバーとして確かな実力を持つ。
彼のテニスはそんな性質を反映するかのように、
ミスが少なく「堅実」そのものである。

そのような紹介文は、記事でも書いたことがある。
外野からは「地味」「菊丸のサポート役」という評価を受けることもあるが、
私はそうは思っていない。
堅実なプレーというものは、本当は何よりも難しいのだ。
私はそんな彼を買っているし、個人的にすごく興味のある存在でもある。
一年生の頃から彼の成長を見てきたが、
真面目なその性格はずっと変わらないな、とそう思っていた。

そんな大石くんが、まさか。


「井上さんは…子供には興味ありませんか?」


取材のために個室で二人きりになり、
一仕事終えたときのことだった。
取材を終えた途端に何故か椅子を寄せてくる彼に違和感はあったが、
腿にそっと添えられた手によって、違和感が確信に変わった。

思わず反応しそうになる体を理性で押し留めた。


「急に何を言い出すんだ、大石くん!」

「僕は本気です」


彼の目は意味深に光っていた。
狙われた獲物の気持ち…というよりは、
餌食に誘惑されているような気持ちになった。

腿を前後にさすられる。
抑え込んだ理性が、揺らぎだす。


「君は未成年だろう…手を出したらただ事じゃないぞ…」

「僕が黙っていればいいことです」


そう告げてから口を耳元に寄せてきた。
次の瞬間の囁きは、とても子どもが出したとは思えないほどに艶がかっていた。


「それとも、僕が中体連に訴えるとでも?」


何を言っているんだ。
私が訴えられるとしたら、中体連ではなく警察だ。

嘲笑のようなため息が零れた。
彼の目は変わらず、妖艶に光っていた。


取材のためにカーテン、扉を
しっかり締めたことを脳内で再確認して
腿に添えられた手の上に自らの手を重ねた。
























お題箱より「年上に憧れる大石くんと井上さんによる井→)←石」でした!
(「→)←」て表現初めて見たけどメジャーなのかしら??)
書き始める前、ビジョンが見えなさ過ぎて爆笑してしまったけど意外とイケたな…w(イケたのか???)

井上×大石とかもう二度と書くことないだろくらいのつもりで書きましたw
続きを書くつもりは(少なくとも今のところは)ありませんwww

大石が攻っぽいけど魔性受ってことにしてください。


2020/06/13