* 曼殊沙華 *












全身に

華が咲く。


「秀くんっ…ヒヤァ……んっ!」


ヂュウ、と背中に響いた音に声を上げれば、
静かにしろとたしなめられる。
なのに口をすぼめていれば、
もっと鳴けよと責め立てられる。


「しゅう、く……アッ、アアア…もう、ダメ…!」


自分の呼吸が、
吸っているのか、吐いているのか、
わからなくなるほど「ハァ。」と「ハァ!」が同じだけ音を立てる。

苦しい。
くるしい。
もっと苦しくナリタイ。



「絞めて、オネガイ!」

「…これでいいのか」

「ヒュッ…!ぃ、ひゃ……ゥア…!」



ギリギリギリと狭まる喉元。
脳に酸素が回らない。
どこかに行ってしまいそうだ。



「ァ、ッ……か……、ア゙ッ!」



心臓がバクンバクン。
全身がビクンビクン。
息が吸えない声も出せない。

打ち上げられた魚だ。


飛び魚。


飛。


空。


宇宙。



―――……。






秀くんが私から出ていこうとするときに
ようやく呼吸ができていると気づいた。
現実に降りてきてしまった。



「秀くん、私はあなたになら殺されてもいいよ」



絞められた名残で声がしゃがれる。
秀くんは何も言わずにそっと微笑む。
それだけで、全身に咲いた紅が愛おしい。
感覚の痺れた指でその痕をそっと撫でた。
























酔っぱらったテンションで9割書き上げたお題
「メンがヘラになりそうな感じの重(甘)狂愛な作品」でした。
ラリった感じが酔っ払いの書く文章との親和性高しだったなw
しかしお題にちゃんと沿ってるのかコレは?(不安になるシラフ)

ちなみにポイントは秀くんは一言も発していないところです。
実はすべて主人公ちゃんの妄想かもしれない(←)


2020/06/07