* THANK YOU BIRTHDAY! *












「お誕生日おめでとう」



そう伝えると、シュウはいつも通りの笑顔で「ありがとう」と言った。

それだけで締めるのは、なんだか味気ない。
もう一言加えようと、思って。


「生まれてきてくれてありがとう……」

「あ、ああ」

「……ってさ」

「うん」


あまり私の口から出てこなさそうな言葉に戸惑った反応を見せたシュウは、
私の言葉が続いていたことに気付いて改めて相槌を打った。


「誰かの誕生日に言ったりするけど、エゴじゃない?」

「エゴ?」

「相手のお祝いじゃなくて、自分の感謝でしょ?」


言われた側はどうすればいい?
どういたしまして、って?
そんなの変じゃない?


「じゃあは、その言葉は好きじゃないのか?」


聞かれて、考えて…
首をぶんぶんを横に振る。
がばっと抱きつく。


「シュウが生まれてきてくれて」

「……うん」

「本当に良かった。嬉しい。ありがとう」

「ありがとう」


ハハッと笑って、頭をポンポンと叩かれた。

その感触でさえが、愛おしい。



アナタが生まれてこなかったら?
出会わなかったら?
一緒に過ごした日々がなかったら?
“離れている”時間がなかったら?
今ここで抱き着いているこの体が存在しなかったら?
……そんなの想像もつかないし、考えたくもない。

とりあえず、今の私は存在しないだろう。それだけはわかる。


「生まれてきてくれてありがとう〜〜」

「何回言うんだ」


胸にぐりぐりと頭を押し付けて、その言葉を繰り返す。


エゴかもしれない。
アナタをお祝いするための言葉じゃないかもしれない。
自分が嬉しくて、幸せになるための言葉かもしれない。

そう思ってた私に、上から声が降りかかる。


、逆にな」

「う?」

「『生まれてきてくれてありがとう』って、最高のお祝いの言葉だと思うんだ」


顔を持ち上げて目を合わせると、
なんで?と聞かずとも、
シュウは続きを喋ってくれた。



「俺の大切な人が、俺の誕生を喜んでくれてるっていうことがわかるから」



その笑みは、あまりに柔らかで。


ああ。
こんなときにまで、人のこと。

本当にアナタっていう人は。



「シュウ、本当に生まれてきてくれてありがとう。
 お誕生日おめでとう。だいすきだよ」



一息で言い切って、顔を見る。
何度見たって見飽きない、その笑顔。

アナタの存在自体に、感謝。


ありがとう。これからも宜しくね。
























この言葉の意味を考えて、こんな話を描きたいなと
ぼんやり考えていたらテニラビで
英二が「生まれてきてくれてありがとー!」いうから…
もう…あんたたち…ってなったw(負けじと夢小説として仕上げたけどな!)

こういう語りっぽい内容は大稲設定と相場が決まってるんですよ。。
(「“離れている”時間」とか言っちゃうあたりね)

大石お誕生日おめでとう!
大石が存在するから今の私がいます。これからも宜しくね。


2020/04/30