* I wanted to believe that this time will last. *












最後の授業が終わった。

あとは卒業式を残すだけ。

今日の帰りの会が終わったら、もう、この席に座ることもないんだろうな…。


「最後だな」

「そうだね」


隣の席の大石くんからも最後を惜しむ声を掛けられて、
なんだかなおさら身に沁みる。

こうやって、大石くんと机を合わせて黒板の方向を見るっていうことも、最後なんだな。




誰より早く教室に来て予習をする姿を眺めたり、
他のクラスメイトが早弁している中で授業の復習をする姿を見つめたり、
眠いはずの午後一の国語の授業を楽しそうに頷いている姿を観察したり、
授業が終わったあとの帰りの会をしゃんとした背筋で仕切る姿を
遠くからぼーーーっと見ていたり…そんな時間が過ぎていく。

最後、なんだな。


「最後だね」

「そうだな」


さっきと全く同じ会話を、立場が入れ替わったような形で繰り返す。
同意してきた大石くんは、さっきの私と同じ気持ちでいるのかな…。



そんなことを考えながら教室を見渡すと、
前の席で寝ているクラスメイトとか
遠くの方で手紙を投げようとしている友達とか
私の意識はあさっての方に向いていたのを


ははっ


と少しの間を開けてから笑った声で呼び戻されて
私は改めて大石くんに着目する。


「どうしたの?」

「いや」


いや、と否定した大石くんは理由を説明する気はないのかな、
なんだろう…と思っていたら、柔らかく目を細めて。



「同じ気持ちでいる人が俺以外にもいるんだなと思ったら、ちょっとだけ嬉しくなったんだよ」



大石くんは嬉しそうで。
それが私も嬉しくて。
だけど卒業は淋しくて。



「嬉しくて、淋しいね」

「ああ、そうだな」



答え合わせをしたくなって気持ちを言葉に表すと
大石くんは笑ったまますんなり同意してきて、
やっぱり同じ気持ちだったんだなって思って、
きっと、同じ気持ちになれたのは、これが最後だからで。


最後って、こういうことなんだな、
でも、悪いことではないんだな。

なんて。



「最後なんだねー」

「最後だな」



こんな、窓際ぽかぽかの会話も、あと少し。
























『What do you mean by this is the last?』のシラフ修正版w
タイトルを日本語で訳せば「これで最後ってどういうこと?」。
本作は日本語に訳すなら「この時間がずっと続くと信じたかった」。
それぞれlastという単語は入れつつも意味は違うのがポイント。

大好きだった時間が終わるのは淋しいけど、
その時間や感情を共有できた人がいるっていうのは嬉しいことですよねって話。
(を、多分書きたかったんだと思う…)(…)

本作のぽかぽかした雰囲気が大好きでなるべく残しました。
記憶なくすほど酔っ払って書いても私の文は私だし、
私は自分の書く文章が好きなんだなぁと思ったwわぁいw


2020/03/01