* 急に、メリークリスマス! *












今夜はクリスマスイブ。
でも何の予定もない。
そもそも一緒に過ごすような相手もいないし…。

そして。

クリぼっち、どころか、
昼休みもぼっち飯だ。
そう思いながら教室で一人お弁当箱を広げた。


いつもはと一緒に食べてるんだけど、今日は風邪で休みだってさ。
普段二人で食べてるから、休まれると一人になっちゃうじゃん。
寂しいよー…でも他の子に混ぜてもらうにも勇気居るし。
まあいっか、たまには。


そう思って自分の席で、いただきまーす、と手を合わせて食べ始めようとしたら。



「あれ、一人かい?」



なんと大石くんが声を掛けてきてくれた。


「う、うん」

「じゃあ俺もここで食べようかな。いいかな?」

「も、もちろん!」


そういうと、大石くんは私の隣の席の子の机を借りてお弁当を広げ始めた。

え、ええー!?!?
まさか、こんな展開になるなんて…ッ!


「いつも一人なのかい?」

「いや、今日がお休みだから…」

「そうか。風邪でお休みっていってたっけ。
 大丈夫かな、最近インフルエンザも流行ってるけど」


そうだね心配だね、とか口では言いながら、心の中では…


「(、休んでくれてありがとう…!)」


とか思ってる薄情な私。(心配してるよ!してるけども!)

だってまさか、私が好きな人である大石くんと
二人きりでお昼ご飯が食べられるだなんて…!


ドキドキしながら、平静を装って会話を持ち掛ける。


「そういう大石くんは?」

「俺はちょっと、委員会のことが立て込んでて。
 お昼は教室で早めに済ませようと思って」

「そっか…忙しいね」


大石くんは、いつもクラスみんなのことを気遣ってくれて、
委員長もやってて、常に忙しくしているイメージだ。

たまには、弱音を吐きたいときだって、あるんじゃないかな。


私がそんな存在になれればいい、だなんて、思い上がりかもしれないけど。



「大変じゃない…?」



恐る恐る、聞いてみた。

そうすると大石くんは、箸を置いて、ふっと笑って。


「大変ではあるよ。でも、きつくはないかな」


そう言った。


「どういうこと?」

「多分俺、好きなんだ。忙しくしているのが。
 みんなの役に立っているかなっていう自己満足もあるのかもしれない。
 ついつい人の世話も焼いてしまうし」


そんなことを考えているんだ、大石くん…。
きっと周りは「さすが大石くんは頼りになるな」とか、
「大石が面倒事引き受けてラッキー!」とか、その程度しか考えてないのに…。

やっぱり私はそんな大石くんが好きだし、
もっと感謝の気持ちを伝えたいと思った。

そんなことを考えていると、大石くんはこんなことを言う。


「ごめんな。今日も一人でお昼を食べる姿を見たら
 気になってつい声を掛けちゃって。お節介だったかな」

「ううん、嬉しかった!」


首を横に振って否定する。
大石くんは、眉を少し八の字にして笑っていて。

社交辞令じゃなくて、すごく嬉しかった。
今日だって、私は危うく、クリぼっち飯だったのに…。


「それじゃあ、俺はそろそろいかないと」


そういうと大石くんは早くに食べ始めたお弁当を片し始めた。

何か、伝えたい。
大石くんに感謝を。
何か…。



………あ!

お母さん!!!



「大石くんっ、これ!」



私は、お弁当の巾着の中に入ったパウンドケーキを目の前に差し出した。


「え?…くれるのかい」

「うん!丁度二つあるから!」


そっか、昨日の夜、お母さんが
「いつもどんな子とお昼食べてるの?」って聞いてきたのは、
さりげなく人数を探ってたのかな?

お母さんありがとう!
、マジでスマン!そして、感謝…!



「本当に、いつもありがとう!それから…メリークリスマス!」



そう伝えたら大石くんは、今度は眉を下げずに、目を柔らかく細めて、
「ありがとう。メリークリスマス」と言って笑うと
受け取ったパウンドケーキを掲げてみせた。


勝手に、幸せなクリスマスプレゼントをもらったみたいな気持ちになって、
大石くんも、少しでも幸せな気持ちになれてたらいいな、って思った。


何もないどころか寂しいクリスマスになりそうだったのが
急に特別な日になってしまった、なんてね。


メリークリスマス…*
























夢は現実込みに限るよね(←)

なんでも良いから今日は大石夢が書きたかったそれだけ。
みんなメリクリ!


2019/12/24