* Le Pont de Rendez-vous *












「さすが跡部財閥のパーティ、すごいね」


喧噪から逃れて甲板に出ると、眼前に青空が広がっていた。

陽光が眩しくて、少しだけ目を細めた。
海風が気持ち良い。


「いいのか抜け出してきて」

「そっちこそ」

「本当はあんまり得意じゃないんだ、こういうの」


大石くんはちょっと困ったような笑顔をした。


今日は、氷帝学園の跡部さんに招待してもらってクルーズパーティに参加している。
様々な学校の選手やマネージャーたちが集められたのだ。

ドレスコードにも指定があって、参加者は皆
スマートなタキシードやゴージャスなドレスに身を包んでいる。

普段こんな服着ないから、少し緊張しちゃう。

自分が着るのもだけど…。


ちら、と横にいる大石くんを見る。


「(ダメ、直視できない…)」


テニスをしている姿も素敵だけれど、
初めて見た正装も格好良すぎる…。


さんはパーティとか好きそうだけど」

「え?あ、うん!」

「中に居辛くなって出てきたのかい?」


室内では、豪勢な食事が振る舞われている。
ソフトドリンクもシャンパングラスでサーブされているし
一枚でいくらするんだっていうような食器なんかも使われていた。
飾り付けを見たり食事をしたり、色々な人と話すのは楽しいけれど、
ごみごみした感じが苦手な人には少し居辛い場所かもしれない。

大石くんは、さっき自己申告した通り、そういう場所が苦手みたいだ。
じゃあ私はどうかというと。


「…そういうわけじゃない」

「じゃあどうしたんだ、体調でも悪いのかい?」


不安そうに顔を覗き込んでくる。


私は背後を気にする。
誰も居ない。

深呼吸。


「いつまでしらばっくれてんの…秀くん」


中にいるみんなは知らない、
私たちの関係。

もし誰かが来たらどうしようと気になって少し小声になる。


「やっと」


掛けられた声に顔を見上げる。


「二人になれたな」


手すりに体重を預けて気の抜けた笑顔を向けてくる。
思わず、私も釣られた表情になった。


「目配せしてきたのそっちでしょ、外出ようって」

「みんなに気付かれないように気払ったよ」

「…その服似合ってる。めちゃめちゃカッコイイ」

ちゃんこそ。すごく可愛いし、綺麗だよ」


そろそろ戻らないと。
でも戻ったら、また大石くんとさんになっちゃうから。


あと少し、もう少しだけこのままで。






















テニラビのMARINE DESTINYの覚醒後の画像が最高過ぎたので。
はーーー大石と青春したい人生だった。

他のメンバーを欺くにはまず読者から、ということで(?)
主人公は心境でも大石をくん呼びさせてみた。
いやなんかさ、付き合い隠してるとそういうオンオフスイッチできるよね…(笑)

しかしたぶんこの二人、隠してるつもりだけどみんなにはバレバレで
気付いてないフリしてもらってると思う(笑)

タイトル、仮名『甲板ランデブー』のゴロを気に入ってたけど
字面が酷すぎるのでフランス語でそれぽくしてみた笑


2019/06/14