* 映画に行きました。 *












「んー、楽しかった!」

「比較的良い映画だったな」


薄暗い映画館から出て、私は大きく伸びをした。

隣に居るのは、シュウ。

在り来りですが、恋人同士で映画館デートってやつです。


「特に事件がクライマックスに向かってるところが良かった!」

「あの盛り上がってくところな」

「うん。初めのほうの神秘的な部分も良かったけど」


そんな、思い思いの感想を口にする。

終えたばかりの興奮に、言葉は止まらない。


「やっぱり…クライマックスが最高だったな。涙出ちゃった」

「ははっ。そうか」


……。

今のは、信じてない笑いだな…。

確かに、私はいつもおちゃらけてて

涙の似合わない女かもしれないけどさ。


そういえば、シュウの前で涙を見せたことは、

一度もないかもしれないな…。


でもなんとなく悔しくて。

既に乾いて冷静になっている目をシュウに向けた。


「だって、感動しなかった!?」

「いや、したにはしたけど…」

「本当にこの映画気に入った〜」


そういえば、シュウのお勧めだって言うから来たんだよね。

うん、さすがシュウって気がしてきたぞ。


「そう言ってもらえると嬉しいな」


笑顔のシュウに対して、私も笑顔。

事実は色々と伏せておくけど、

とりあえず感動したということ。

同じ気持ちになれたのかな?と疑問に持ちつつ、

私達は映画館を後にした。























感動泣きってあんまりしない人なんですが。
(何気なく大稲設定だったりすることは大公開です/待て)


2003/05/16