* 飽きないの? *
春麗らかなこの日。
野道を散歩しているだけで、幸せな気持ちになれる。
歩いていて、見つけた。
黄色い花の群れ。
「わ、凄いタンポポ!」
「今丁度満開の時期か」
一面に広がる黄色い花。
あまりに身近すぎて気付かないけれど、
実は、とても綺麗で可愛らしい花だと私は思う。
中には、既に花として役目を終えたものが、
白い綿を纏って茎を伸ばしている。
「あ、これ好きなんだよね〜」
そこに近寄って、ふーっと息を吹き掛けてみた。
風に乗って、綿毛が宙を舞う。
白い物がふわふわ、ふわふわ浮かんでる。
「ね、見てた?」
「見てたよ?」
振り返ったところに居たシュウは、
妙に浮かれている私に笑顔を返してくれた。
いい気分の私は、もう一つの花を紡いで息を吹き掛けた。
「キレイだよね、これ。私好きなんだ」
「へぇ」
辺りに舞っていく真っ白の綿毛は、
まるで天使の羽のよう。
いくつもの綿毛を飛ばして。
くるりとシュウに振り返ったとき。
私は笑顔で、向こうも笑顔で。
「よく、飽きないな」
「うん。これやってるだけで…なんか幸せになるんだ」
後から考えると、シュウのそのセリフは
単調なことを繰り返す子供な私への皮肉だったのかもしれないけれど。
だけど…ね?
いつでも貴方は笑顔だから。
振り返ればそこに必ず笑顔があるから、だから。
――この真っ白な綿毛を 空へ向けて 飛ばしてみたくなるんだ。
好きなんですよね、綿毛飛ばすの。
(大稲シリーズくさいなぁ)
2003/04/24