* 背中×背中 *












嫌われていると思っていた。





なんで笑わないんだろうと不思議に思った。





話すときは必ず、喧嘩絡み。

楽しい談笑なんて、一度も交わしたことがなかった。






強張った顔したアイツに話しかけるため、

オレは無理に切っ掛け作って悪戯した。






根拠のない自信に、縛られていた。

そんな自分に嫌気が差しながらも

素直になることなんて出来なかった。






一目見て面白いヤツだと思って、話してみてもっと思った。

だけど何度ちょっかい出しても

心から振り返ってくれることは一度もなかった。







第一印象は、最悪だった。

初対面から態度は悪かったし。

突然勘に触るやつだった、なのに。

悪いやつだと思えなかったのは、何故なのだろうか。








初めの印象は、なんか清ましてるヤツ。

先輩たちを見て盛り上がる一年の中、

ただ一人鋭い目付きで立っているだけだった。

そんな表情を崩してやりたいと思って、ちょっかい出したんだ。







俺の前でアイツは、いつも険しい顔をする。

他の奴等の前では、笑顔を振り撒いているのに。

その表情が俺に向けられることだけは、なかった。

…嫌われていると思ったんだ。

だから、俺も冷たい態度を取り返すだけだったんだ。







いつだってアイツは、厳しい顔付きをしてる。

笑ってるところなんて、ほとんど見たことがない。

それは誰にだって同じなんだろうけど。

…でもいつかきっと見せてくれると思った。

そのために、オレは怒ったふりして喧嘩を持ちかけるだけだったんだ。







 そう。

 背中同士。

 一度も笑い掛けてもらったことがない。

 背中と背中。

 楽しく笑い合ったことなどない。

 背中合わせの俺達。






  後ろを振り返ったら

  そこに笑顔があるのではないかと期待するのは

  甘すぎるのだろうか――…























擦れ違い桃海*
このなんともいえない関係が、ね。好きなんですよ。
ほのぼのとかラブラブでもいいんだけど。
ケンカしあってギャー×2ってのも大好きなんだけど。
なんとなくこんなしんみりしてるのもありなんじゃないかと。

判定としてダークに近いんだけど、
最終的に幸せそうに行きそうな予感がするので
表に放置プレー。(うわ)

題名は背中合わせとかよりこれを選んだ。
理由は敢えて言わず。(ぉ


2003/05/10