* 信じ合えるならば *
もしも信じ合えるならば。
この右手が離されても、大丈夫なのかな。
「それじゃあ」
「うん…」
今生の別れでは、決してないのだけれど。
だけど、取り除けない小さな不安がある。
合わさっている掌。
触れ合っている指。
重なり合っている鼓動。
離されたら、もう二度と近付けない気がして。
気の所為なんだろうけど。
気の所為だと信じたいけど。
「またな」
たったそれだけの別れの言葉。
短かったのに、重かった。
そのまま貴方は、こっちを振り返らずに。
一歩一歩、歩を進めるだけだった。
もしも信じ合えるならば、
離れたって、平気なのかな。
もしも信じあえるならば、
こんな悩みも、必要ないのかな。
私は貴方を、信じているけれど。
一方通行とも、思えないけれど。
もしも信じ合えるのならば、
心が離されることはないのかな。
そういう自分自身が、信じられてないのかもしれません。
2003/04/30