* 誕生日とクリスマス *












「秀ちゃん、お誕生日おめでとう!」

「ありがとう」


お祝いの言葉と同時に、小さな小包を渡した。

大したことの無いものなんだけど、プレゼントなんだ。


秀ちゃんの誕生日をお祝いするのは、何回目だろう。

考えてみると、まだ2回目だったことに気付く。

でも、もっと沢山プレゼントを渡した気が…?

と考えると、クリスマスがあったからだ、という結論に達した。


「…ねぇ、秀ちゃん」

「ん?」

「秀ちゃんはさ、誕生日とクリスマスで、どっちの方が好き?」


訊くと、考える間もなしに、ダイレクトに切り返してきた。


「誕生日の方が好きだよ」


優しい笑顔で、そう言われた。

どうしてそんなにはっきり言い切れるんだろう?

と疑問になって、あたしはもう一度聞いた。


「どうして?」

「どうしてって…そりゃあ、クリスマスは誰にでもあるけど誕生日は自分だけだろ?」


その言葉に、なるほど、と大いに納得させられてしまった。

確かに、誕生日は自分だけの特別な日だもんね!


「…それから、理由はもう一つあるんだ」

「ん、なに?」


秀ちゃんは、少し真面目な、でも優しい笑顔で言ってきた。


「俺はキリスト教でもないし、イエス様の生まれた日だとか…そんなのに興味はないし」

「まあ、あたしもキリスト教じゃないから分かるけど…」

「だけどさ、自分が生まれた日は…やっぱり特別だよ」


秀ちゃんは少し屈んであたしの身長に目線を合わすようにすると、言ってきた。



 「だって、俺が生まれていなかったら、俺たちは巡り合うことはなかった」



真っ直ぐの視線に捕らわれて、

あたしはは一瞬返事すら出来なかった。


「だろ?」

「そう…だね。そうだね!」


秀ちゃんの笑顔で、漸く口から言葉が出た。

二人とも笑顔が重なった。


言われて再確認した、やっぱり大切なこの日。



  お誕生日、おめでとう。























やっぱり特別ですよね、誕生日ってのは。


2003/04/30