* ごめんね。 *
チャイムが鳴ってから、授業が始まる前の数分間。
たったそれだけの時間。
たったそれだけのお喋り。
それが当たり前になったのは、いつのことだったっけ。
「…大石」
「ん?」
今日もそれは変わらないのだけれど。
でも、気付いてしまったから。
「ごめんね」
私の謝罪の言葉に対し、
向こうは不思議そうな顔をした。
「どうして謝るんだ?思い当たりは無いけど…」
「私にはあるの」
「そうか……?」
私の言葉に、大石は凄く不思議そうな表情をした。
まあ、分からないだろうけど。
私が何に対して罪悪感を感じてるか、なんて。
このたった数分のお喋りが当たり前になった時。
それに微かな幸せを感じていると気付いた時。
貴方の事が好きだと、勘付いた時。
その時から、胸の奥に妙な罪悪感を覚えてしまった。
人を好きになる、上等じゃない。
でも、このモヤモヤが消し去れない。
何故だか、自分でも分からないんだけど。
だけど、もう一度謝らせて?
好きになっちゃって、ゴメンね。
ごめんなさい。
2003/04/29