* めがね *
「あれ、手塚君?」
「ん?」
朝登校して、教室に着いて。
ドアから自分の席に向かう途中、見かけたもの。
「今日は…眼鏡、どうしたの?」
珍しいことに、眼鏡を外している手塚君。
腕を組むと、相変わらずの固そうな口調で言ってきた。
「ああ、今日朝練の時に、菊丸たちが…」
「なに、悪戯で取られちゃったとか?」
「そういうことだ」
なんか、いつも以上に眉間に皺が寄ってる感じ。
…そういえば、手塚君が眼鏡外してるところって初めて見た?
おお、これって貴重かも。
眼鏡を掛けてて真面目そうなのもいいけど、
外してるのもこれはこれで…相当カッコいいかも…。
「…しかし、眼鏡が無いというのは最高に不便なものだな」
「どうして?」
「これだけ近くに居ても、お前の顔が少しぼやける」
「!」
その時、手塚君の顔は私の顔から30cmと離れていなかった。
普段だったら、絶対にこんなに近くに寄らない距離。
「ん…お前、熱があるか?顔が赤く見える」
「気の所為、気の所為だよ手塚君!」
「そうか…やはり、眼鏡がないと不便だ」
本当に授業前に返しに来てくれるのだろうか…と呟く手塚君。
それを小耳で聞きながら、意識は違う場所。
眼鏡を外してる貴方も、何だか素敵だなって。
私は眼鏡を掛けてるほうが好き。
(日記にはえげつないギャグの続編があったり)
2003/04/25