* レモンの飴玉 *
チャイムが休み時間の終わりを告げた時、
なんとなく口元が寂しくなって、
飴玉を口に放り投げた。
「こら」
「――」
振り向くと、そこに居たのはうちのクラスの学級委員。
「なにさ」
「もうすぐ授業が始まるのに、今何か食べただろ」
「…バレち?」
飄々としている私に、その人は溜め息を吐いて。
隣の席から首を傾げて呆れたような顔をした。
「一体何を食べてるんだ?」
「…ハルスボンボン」
「はぁ?」
「ちなみにツィトローネ」
全く意味が分からない、という表情をするその人を他所に、
私は涼しい顔して飴を舐め続ける。
甘いんだけど、顔を顰めたくなるほど酸っぱい。
コロコロと飴を舌で転がしながら、
不思議そうに首を傾げる貴方を眺めた。
甘酸っぱい恋。
…なーるほどね。
飴の包み紙を、ポケットに押し込んだとき、
丁度先生が教室に入ってきた。
甘酸っぱさがスッとするレモンのど飴。大好き。
(『sunny-side up』とリンクしてるかも)
2003/04/20