* 電話越しの君 *
なんとなく暇になって。
貴方の声を聞きたくなって。
受話器を持ち上げた。
指は、しなやかにダイアル番号を連ねて。
そうして掛けた電話。
「もしもし?」
機械越しの声は、
いつもと同じもののはずなのに、
いつもと違うものに感じて。
離れているはずなのに聞こえる声。
電話越しの声。
なんて、不思議なものなんだろうと思う。
何度話しても、慣れない。
慣れてしまうということに、慣れない。
不思議だと思う。
電話越しということを。
「明日なんか宿題あったか?」
「えーっとね…」
何気ない会話。
顔を合わせているときと同じなはずなのに。
何となく違うものに感じてしまうのは、何故だろう。
この不自然な距離をなんとかしたい。
やっぱり、顔を合わせて話すのが好きだな、と思った。
電話やチャットより直接話すほうがやっぱり好きだ。
2003/04/08