* 100の笑顔 *












笑顔が似合う人だった。

眩しい笑顔をする人だった。


前々から思ってた。

笑った顔が、素敵だなって。

でもそれは恋でもなんでもなくて。

その笑顔自体が、好きなんだと思ってた。


テストの結果を見せ合って一喜一憂したり。

授業中に発言する横顔をちらりと横目で見てみたり。

頭も良いくせに運動も得意なのを羨んでみたり。

意地悪な一言に頬を膨らませてみたり。


そんななんてことない日常。

平凡だけど、楽しかった毎日。

でもそれは恋でもなんでもなくて。

一緒に居れば楽しい、友達だと思ってた。


日増しに速度を上げていく鼓動には、

気付いて気付かないふりをしてた。

そんな私を確信へと促したのは、

思いがけない優しい言葉と


 優しい笑顔。



好きなんだ。

好きなんだ。

思うほど、深く感じる。


そっか、ずっと、好きだったんだ。

妙に納得している自分が居た。


意識するほど、心臓は高鳴って。

廊下で背中を見つけるたびに、

振り返って笑顔を向けてくれたらな、

なんて夢見がちな発想まで出てきて。



私にいつも向けてくるのは、

意地悪な笑みばかりで。

友達と話しているときは、

無邪気な楽しそうな笑みで。


沢山の笑顔。

一杯の笑顔。

その中で、もう一度だけでも

優しい笑顔を向けてほしいだなんて思うのは、

我が侭なのでしょうか?


今までに向けられた笑顔は何回だろう。

数えたって、数え切れないけれど。

その沢山の中の、ちょっとでいいから。

100回中に、一度でもいいから。



 貴方の笑顔を見る楽しみが

 また一つ増えました。






















素敵に恋せよ夢見る乙女。
(設定は『sunny-side up』とリンクしてるくさいです)


2003/03/28