* クォーター *
「不二、お誕生日おめでとう!」
学校に着いて、おはようより先に言われた言葉は、それだった。
だから僕も、そのまま返事を返した。
「有り難う、英二」
「これでまた不二とオレは同い年かっ!」
英二は、口を尖らせてそう言った。
少しの間だけだけど、自分のほうが年上だったのが嬉しかったみたいだ。
だから同い年になるのは、少し悔しい、みたい。
全く、英二らしいなぁ…。
「あ、でもさ!」
「?」
「不二って今年もまだ3歳だ!!」
英二は、嬉しそうに笑った。
全く…。
無邪気で、汚れというものをしらない。
英二は、そんなやつだと思った。
「3歳〜3歳〜!」
「こーらっ」
でもあまりに嬉しそうにはしゃぎまわるもんだから、
なんとなく悔しくなってきた。
ちょっとした、悪戯を思いつく。
「ね、英二は今何歳?」
「え、15歳だけど…」
「てことは、僕が15歳になる頃は英二って60歳?おじいさんじゃない」
「…え、あ…ぅ、そうかも…」
……。
見事なまでに引っ掛かってくれた。
それどころか、本気にして沈んでしまった。
…本当に面白いな、英二は。
「英二、冗談だからさ…」
「…そうだよね。一瞬信じちゃったじゃん!不二の意地悪ー!!」
英二は僕のことをポカポカと殴ってきた。
といっても痛くは無いんだけど。
寧ろ、こんなやり取りを出来る空間が心地好い。
「だって、不二が15歳の姿なのにオレだけ60歳なんて悲惨!」
「…英二、良く考えてごらんよ。僕は君に3歳だって言われてるけど、
体はちゃんと15歳でしょ?」
「…だよね」
じゃあ12年間分はどこに消えたんだー?と首を捻っていた。
君が勝手に消したんだよ、と心の中で思って笑ってしまった。
「…にゃに笑ってんの」
「いや、面白いなぁと思って」
笑う僕に対し、英二は不満そうな顔をした。
でも、突然「あっ!」と声を張り上げた。
「どうしたの?」
「そうそう、プレゼントのこと言うの忘れてた」
そうか、プレゼントくれるのかな?
と思ったら、英二はこう言った。
「今年は、プレゼント無し!」
「あ、そうなの。どうして?」
英二のことだから、お金がなかったとかそんな話かな?と思った。
そしたら、英二は何故か胸を張って言ってきた。
「だって、不二って今年は3歳のままじゃん!」
……。
君はさっきの話を忘れてるのかなぁ。
と、思ったら。
「だからさ、来年、本当の誕生日が来たときに、あげるね」
「それまでちゃんと憶えてる?」
「憶えてるよ失礼な!だから、約束だよ!」
英二はビシっと指差してきながら言った。
僕は、笑いながら了解した。
来年、本当の誕生日が来たときに、あげるね。
この言葉には、「来年も一緒に居よう」という意味が
隠されてるんじゃないかっていうのは、
僕の勝手な自惚れた深読みかなぁ…。
「約束、忘れないでよ」
「はいはい」
とりあえず、一緒に居られることには変わりは無さそうだから、
いいのかな…なんて思ってみた。
4年に一度の誕生日。
その特別な日に、一体君は何をくれるのだろう?
そんなことに胸を膨らましながら、
この想いこそが最高のプレゼントだ、なんて思ってしまう僕が居た。
微妙なまま終わった。(涙)
メイツはほのぼのが好き。ってかほとんど友情ものっぽいな、これ。
微妙ーにお互い意識してますね、ハイ。
で、不二はその「英二を想うことが出来る心」をプレゼントとして受け取ってるのです。
ああ分かりにくい。
時間がなくて焦ってたのですよー涙。
2003/02/28