「ねぇ英二」

「んー?」

「僕、英二のこと好きなんだけど」

「…は?」


突然の告白に、オレは戸惑うしかなかった。











  * 恋の方程式 *












「と、いうわけなんだ」
「…そりゃビックリだな」
「でしょー?」

昼休み、オレは自分の教室ではなく大石の教室に居る。
必死に力説した後、オレは大石に必死に同意を求めた。
だって、想像付く?
同じクラスの親友、しかも男に、行き成り告白されるなんて!
少なくとも、オレはビックリだった。
だって、オレは今までに何度か告白されたことはあったけど、
全部女の子だったから。
初めてのことに、ちょっとだけ驚いた。

しかも、その相手が不二なんだもんにゃぁ…。


「あーオレどうすればいいんだろう!どう思う、大石!?」
「どう思うっていわれても…それは英二が決めることだろう?」
「うん…」
「それに、確か返事はゆっくりでいいって言われたんだろ?
 だったら、ゆっくり考えればいいんじゃないか」
「そっか…そうだよね!」

大石の言うことって、なんか説得力ある!
伊達に長年相談役やってないね。
お陰で他人の心配事も抱え込んで胃に穴が開く思いだって言ってるけど。

「ありがと大石!オレ考えてみる」
「ああ、頑張れよ」

大石に背中を押されて、オレは3年2組の教室を飛び出した。

そうだね。
急ぐ必要は無いんだ。ゆっくり考えよう。


オレは教室に帰ると、
不二の机の前にひょこっと顔を出した。

「…不二?」
「なあに、英二」
「にゃんでもなぁい」

不二の態度は、いつも通りだ。
告白前も、後も変わりもしない。
本当にオレのこと好きなのかなーと思うけど。
他の人には向けない優しい笑顔を向けられると、
やっぱり好きでいてくれてるのかなーとか思う。


教室でだけじゃない。
休み時間だけじゃない。

部活だって、なんのときだって、
不二はいつも通りだ。

…思えば、恋人同士とかになっても、
何か変わりってあるわけ?
オレにはそれがだんだん疑問になってきた。

「ねぇ不二ぃ」
「ん、なに?」
「今日…一緒に帰ろっか」
「いいよ。それじゃあ約束ね」

そう言って、にこっと笑った。
…優しい笑顔だと思った。



   **



「ね、ね、折角だから寄り道してかない?」
「どこに?」
「んーと…公園!」
「英二らしいね」

不二はくすっと笑った。
こういうときも、優しい感じがするんだよにゃ。
だから不二って不思議だ。

「ぶらんこ乗ろうよぶらんこ!」
「ちょっと英二はしゃぎ過ぎ」

あまり乗り気でないような不二を他所に、
オレはぶらんこに乗った。
ぶらんこなんて、久しぶりに乗った。
昔は沢山遊んだのになぁ…。

立ち乗りすると頭が結構すれすれで、
背が伸びたなぁとか考えてた。

その横のぶらんこに、不二はゆっくりと腰掛けた。

「…で、英二。わざわざこんな所に連れてきたのは何か意味があるわけ?」
「あ、そうそう!そうなんだよね」

オレはぶらんこを漕ぐのをやめた。
でもすぐには揺れは止まらないから、
ぴょんとそのまま飛び降りた。
そして、くるんと不二のほうを向き直って言った。

「オレさ、この前不二に…その、告白されたじゃん?」
「そうだね」
「でもさ…恋人同士って何?やっぱデートしたりとか?」

男同士だけど…。
それって、親友とは違うのかな?
男同士の友情にあらず愛情か…。
別にそれがヘンだとかは思わないけど、
イマイチ…ピンと来ないんだよね。

「うーん…そうだね。いつも一緒に居る、かな?」
「それが恋人同士になるっていうこと?」
「それが直接そうだとは言わないけど…結論から言うとね」

そっか…そうなんだ。
いつも一緒に居る、かぁ。
…でもちょっと待てよ?

「それってさ、友達とは違うの?
 だって、現に今までオレ達ずっと一緒に居たじゃん」
「じゃあ、僕達はもう恋人同士?」
「えぇっ、親友でしょ!?」

ビックリした…。
別にオレ達恋人同士じゃない、よね?
だって、同じクラスで、同じ部活で、
ただずっと仲良くて…。

でも、これで親友同士でもいつも一緒に居られるっていう証明になったぞ!

「どうして恋人同士なのさ?」

オレはもう一度不二に問い掛けた。
そしてくるりと振り返ると……。



『チュッv』

「!?」




・・・え。

え、えぇ、えぇぇ〜〜!?!?


「わ、わわわっ!突然にゃに!?」

オレは凄い勢いで後退りして、
唇を当てられた頬に手を当てた。
…キス、された。
今、間違いなく。

でも、嫌な感じはしなくて。
寧ろ…嬉しいなんて感じてしまった。
これってどういうこと?

「恋人同士になりたい理由、それはね」

不二はオレに向かって数歩進むと、
にこっと笑って言った。

「強いていうなら…もっと近くに居たいから、かな?」
「………」

オレは、不二の笑顔に対して何も言えなかった。
口をパクパクさせて、目をパチクリさせるだけだった。

「嫌?」

不二に訊かれて、オレは首を横に振った。

嫌じゃない。
嬉しかった。

これが、恋なの?
これが、スキってこと?
これが、恋人同士になるってこと?


「それじゃあ、交渉成立だね」


不二は左手、オレは右手。

指を絡め合うと、口に契約の印を落とした。






















ラブホモ万歳!(ビバ)
菊がまっちろけ故にめちゃほのぼの。
36はほんわかが書きやすいかな、分からん。
(前はなかなか書けなかったのに…進歩だ)

この場合不二もそんなには黒くないと思います。
かといって白いかというとそうでもないと思います。(笑)
まあ、適度に黒い。(黒いんじゃん)(ドス黒くはないってこと)

書いてて楽しかったです♪メイツ万歳。


2003/02/24