* ダーク・サイト *












 それは暗い場所。
 どことは言わない。
 分かるのは、暗い場所というだけ。
 学校?誰かの家?街の中?

 分かるのは、暗い場所ということだけ。





   ***





「僕、君のこと好きなんだ」

不二はそうさらっと言った。
海堂は、一瞬固まった後ぷいと顔を背けて言った。

「…冗談言わないでくださいよ」

すると、不二は海堂の正面に回り込み、
一瞬焦点が合わなくなるほどに顔を近付けて言った。

「ホ・ン・キ、だよ?」
「……」

喋るときの吐息が感じられるほどのその距離。
海堂は、後ろに一歩引いた。

「そんなこと、言われたって…」
「なに、僕のこと嫌い?」
「…そういうわけじゃないっスけど…」

不二がクスっと悪魔めいた笑顔で言うと、
海堂は顔を逸らして否定した。
すると、不二は不満そうな顔になる。

「…困るなぁ」
「は?」

一瞬不二の言ったことが良くわからず、たじろぐ海堂。
不二のその瞳を覗き込んで見ると、
深い、深い、冷たい蒼。

「僕のことは嫌ってよ」
「え、さっき先輩…」
「僕だって、こんな感情間違ってるってことぐらい分かってるよ」
「……」

既に不二は海堂の言うことなどほとんど聞いておらず、
背を向けて話し始めた。
後ろで手を組み、ゆっくりと歩きながら。

「間違ってると分かってるから、嫌ってほしいんだ」
「だったら…どうして」

海堂が疑問を投げかけると、不二はくるりと振り返った。
そして言う。

「嫌ってもらうのに一番手っ取り早いと思って」
「…え?」
「だってほら」

不二は海堂の元へ戻った。
自分より体の大きい、後輩の元へ。
体を密着させた状態。
体重を海堂に預けながら、不二は笑った。
顎を右手でクイと上げて。


「君、今僕に幻滅したでしょ?」


体を離すと、不二はまたクスっと笑った。

自分の願う、嫌われたい恋を嘲笑った。


「嫌ってよ、僕のこと。
 嫌いじゃないけど好きでもないなんてやめて。
 僕の間違った想いを正当化させないで」


その言葉は、海堂にどう響いたのか。
海堂は一歩一歩不二に歩み寄ると、低く言い放った。

「じゃあ…」
「ん?――っ」

そのまま、口が合わさった。
顔を離すと、海堂は問い掛けた。


 『その告白を、相手が受け入れてしまったらどうするんスか?』


深い、深い、奥の見えない漆黒。
その瞳を覗き込んだ後、不二はまたクスっと笑った。

「……それなら、ハッピーエンドじゃない?」

そういうと、海堂の首に手を巻き付けた。
その手に力は、篭るでもなく緩められるでもなく。

自分の手の中の存在を、確かめているだけなのだろう。


身動きしない海堂を見、不二は最後にもう一度くすっと笑った。
そして、加えた。


  ――絶対幸せになんてなれないって、分かってるけどね。


 間違った感情だって、お互い分かってるんだもの。
 辿り着く場所は、はっきりとは分からない。

 分かるのは、暗い場所ということだけ。






















暗っ!つか黒っ!ってか訳分からん。(寒)
書きたくなったから書いちゃったよ。あーもう。(?)

不二はドス黒。
海堂も意外と黒いってか腹に何か抱えてる感じ。
そんなイメージで書きました。
海堂は白(ピュア)も好きだけど雰囲気的には
こんな感じのオーラ漂わせてるからね。

という訳で突発的不二海初挑戦。
海不二じゃあないと思う。(たぶん)
この際リバでもいいよ。(ごわっ)

ダークサイトというのは、
暗い場所と、暗黒の視野という意味。(フォロー)
暗い場所というのは、彼らが現在居る位置も、
これから向かう場所も両方指してます。(フォロー2)


2003/02/23