「りょ・お・まv」
「なに…」

私が満面の笑みで近付くと、リョーマはおもむろに嫌そうな顔をした。
だから、私は手から吊り下げていた小さな袋を、前に突き出した。

「なにじゃないでしょ!ハイ、チョコレートっ」
「ああ…そうか、今日…」

受け取ると、リョーマはそれと睨めっこして、
今日という日を認識したようだった。


そう…今日は2月14日。

待ちに待った街に舞った、聖バレンタインズデー。











  * 以心伝心:直情径行 *












「そっか…やだな」
「やだぁ?可愛い彼女から手作りチョコ貰っといて何がご不満なのよ!」

眉を顰めて横を歩くリョーマ。
私より幾分か低い身長に合わせて、
少し屈んで覗き込むようにして歩いた。
あんまりに嫌そうな顔をするので、私は口を尖らせて言った。
すると、リョーマは否定の言葉を述べるべく顔を上げた。

「そうじゃなくて…もし今日もまた誕生日のときと同じ展開になったら…!?」
「ま、いいや。今日は折角のイベントの日だし?
 今日はずっと一緒に居てね、リョー……リョーマ!?」

空を見上げていた視線を戻し、
横に居るものを見…ようとしたのに。

リョーマは、そこに居なかった。

焦ってキョロキョロすると、
遥か前方にせわしく走っていく背中が見えた。


「ちょ、ちょっとリョーマ!?…ぎゃっ!」


慌てて後を追おうとした瞬間。
私は誰かに体当たりされた。
それは…数人の女子のグループだった。


「「リョーマくぅ〜んvvv」」


走り抜けていったものは、
頭の上にハートマークが見えそうなほどに
フラーテーションを振りまき走っていった。

「な、なんなの……」

私はふら付いた体勢を立て直した。
リョーマと女子の集団は、遥か彼方へ消えていった。

さっきのは、中2と見た。
くそぅ…顔憶えて置けばよかった。


「全く、今日一日は一緒にいてもらおうと思ったのに…」


そう呟き混じりに独り言を言ったとき、
隣を歩く高等部の先輩の会話が聞こえた。

「ねぇ、今日誰かに本命渡すの?」
「まっさかぁー!義理チョコなら持ってきたけど」
「私さ、中等部であげたい子が居るんだけど」
「マジ!?」
「うん。知ってる?越前リョーマって子!テニス部なんだけどさ、
 小さいのに超強いの!年下なのに憧れるっていうか」
「えー、その子の名前なら結構聞くけど、彼女いるんじゃないの?」
「うっそ!?超ショックなんだけどー!!」
「ま、あんたのチョコ貰ったら気が変わったりてね!」
「じゃ、やっぱ頑張っちゃおうかな?なぁーんて!」

あははは、と笑いながら先輩二人組みは通り過ぎていった。


「い、言いたい放題言ってくれちゃって!!」


私は二人の背中で拳を握った。
まあ、先輩である手前なにも出来ないんですが。


でも…やっぱリョーマってどの学年にも人気なんだな。
再認識させられたよ…。
私も、こうして今付き合ってるのも奇跡に近いっていうか…。



思えば、私達が付き合い始めたのは、リョーマの誕生日。
私は、リョーマにプレゼントを渡した。
年が二つも違って、希望はかなり薄いと思った。
今はテニスで一杯かな、とも思った。
でも…そのまま諦めるなんて出来なくて、思い切ってそのとき告白したんだ。


思い返すと、なんとも呆気なく付き合うことになったなぁ…。


そうそう、まず、私がリョーマのことを呼び出して。
顔が赤くなってるのを分かりながらもとめられないまま、
やってきたリョーマに小包を差し出した。

『これ…プレゼントです。お誕生日おめでとう…』
『あ、ども…』

柄にもなくめちゃくちゃ緊張してて、
言葉までがっちがちだったな…。
プレゼントを渡すとリョーマはなんとなく嬉しそうな顔をして。
この雰囲気を逃したら駄目だ!って勢いでそのまま告白した。

『それで、あの…私、リョーマ君のことが好きですっ!』
『……』

沈黙は暫く続いた。
そしたら、リョーマは私に向けて顔を上げて、訊いてきた。

『…名前』
『は?』
『アンタ名前なんていうの』

訊かれてはっとした私は、
焦って自分の名前を告げた。

『3年3組でございますっ!』
『あっそ…』

訊かれたから答えたのに…
リョーマの返事は恐ろしいほどにあっけなかった。
ちょっとショックを受けかけた、そのとき。


 『じゃあこれから宜しく、


リョーマは、そう言ったんだ。
笑顔…とは言い切れないけど。
穏やかな表情をしていたことは、憶えている。

こうして、私達は付き合うことになった…のだけれど。


こんなにも簡単に決定して、良かったの!?
リョーマは…私に対して愛はあるのだろうか…。
だって、名前すら知らなくて……。

ゔ〜〜ん……。





  **




気持ちがすっきりしないまま、私は学校に着いた。
なんで一人で登校してるの…私。
溜め息を一つ吐いて、私は靴を履き替えた。

…ところで……。

1年2組の教室の前の人だかりは、気の所為かな〜…?


「リョーマくぅーん!」
「越前くん、チョコ受け取ってぇ!!」


………。
全て現実。リアリティー。



そこから視線を背けて、私は階段を昇った。







…そうか、そういうことだったのね。
リョーマがバレンタインと知って嫌そうな顔をしたのは…。
誕生日のときみたいにって言ったから、
誕生日のときもそうだったの?

あ、そういえばそうだったなぁ。
あれは私が告白した日でもある。
沢山プレゼントも貰ってる感じもしたし、諦めようかとも思った。
でも…勇気を振り絞ったんだ。
そして、結果はマル。
…上手く行き過ぎてるなぁ。


そういえば、私まだ聞いてない。
リョーマの気持ち。
付き合って、って私が言って、それで付き合ってる。
好きなんて言われたことない。
思えばなんで私と付き合おうと思ったの?
理由…聞いてないし分からない。

本当に、私はリョーマの特別な人になれてるの……?





  **




「……」
!」

お弁当、私は教室で独りで食べていた。
いつもなら、リョーマと二人だけど…。
今日は、向こうも大変そうだし。
何よりそんな気になれない…。

と、思ってたけど。
呼ばれて振り返ると、そこに居たのは…リョーマだった。

私は箸を置いて、教室の入り口へ向けて歩いた。

「どうしたの、リョーマ。わざわざ3年の階まで来るなんて珍しい…」
「だって、が来ないから」

そう、いつもは私がリョーマの教室までお弁当を持って行く。
そのままそこで食べることもあるし、
屋上で食べたり、中庭で食べたり。

「ごめん、だってリョーマまた人に囲まれてるのかと思ったから…」
「別にそんな一日中囲まれてるわけじゃないし…」

「ねぇ、あれって一年の越前くんでしょ?」
「可愛いよねー弟に欲しいっていうか?
 あ、あたしチョコ持ってるよ?渡して見ちゃおっかー。 クスクス」

「………」
「もう突っ込む気力もないわよ…」

うちらが話していると、
隣のクラスの女子二人がリョーマを見てなにかを言ってきた。
落ち着かないなー…。


「ま、いいわ。んじゃ、一緒にお弁当食べよっか」
「――」
「あ、あそこにする?桜の木の下!」
「……別にいいけど」
「やたv」


頭を切り替えて、私はリョーマと一緒に昼休みをエンジョイすることにした。
ちなみに桜の木の下というのは…私がリョーマに告白した場所。
今でも思い出深い場所。

「じゃ、行こっか」
「っ!学校では止めろよ!」
「ぶー…」

私が手を握ると、リョーマはバッと突き放した。
学校ではっていうか…普段も繋ぐと嫌そうな顔するんですけど。
…愛が足りない。

まあ、それはリョーマの素っ気無いクールな性格ゆえということで許そう。
私がそこに惚れ込んだ弱みともいうが…。





「美味しいね」
「うん」
「なんていうか、ここの眺め好きなんだ、私」
「へえ」

一緒にお弁当を食べている時は、とっても幸せだった。
まだ2月だけど比較的気温の高い今日。
日が当たっているこの場所は、ポカポカと気持ち良かった。

リョーマは口数が少ないので、自然と私が喋ってリョーマが相槌を打つ、
という流れになっている。
今日もそんな感じで続いていた。

…そうだ。
さっき疑問に思ってたこと、今訊いちゃおうか?
私のこと…本当に好きなのかってこと。
本当にそうなら、ちゃんと伝えてほしい。
よし!

「ねぇ
「…はい」

私が口を開いたところで、
リョーマに先を越されたのでした。
しかし、リョーマから話をするなんて珍しい。
なんだ…?

「なぁに、リョーマ」
「あのさ…は―」


 「リョーマくぅ〜んvv!」


「「―――」」


遠くから聞こえた声に、私達二人は固まった。
また、新たな群衆。

「げっ、またあいつら…」
「あ、リョーマ!?」
「ごめんっ」
「―――」

リョーマは、女子の集団から逃げるべく、
またどこかへ走っていってしまった。

咄嗟に立ち上がったまま残された私は、暫く佇んでいた。


「リョー、マ…」


一筋の風が、葉の無い桜の枝を揺すった。





結局、昼休みの間リョーマが帰ってくることは無かった。
仕方なしに教室に帰った私は、有り得ないほどに暗かった。
それは自分でも分かったけど…
落ち込んだ気持ちは自分ではどうにも立て直せない。


なによ…リョーマとかいって。
私のこと、本当に好きなの?
私のこと、大事に思ってるの?
どうして特別な日ぐらい一緒に居てくれないの?

相手のことを想ってるのは、私だけなの?


「リョーマ……」


小さく呟いた瞬間、チャイムが鳴った。





  **





放課後。
私の気持ちは、沈んだままだった。
普段は大抵、テニス部を見学して一緒に帰るけど、
リョーマの姿を見る気にすらならなかった。
一人、教室に残ってぼーっとしていた。

明るかった空が、少しずつ夕闇へと変わっていく。

色々、色々考えた。
そして結論が出た。
はっきりさせないと、いけないと思った。
リョーマが本当に私のことを好きでないなら、別れなきゃいけない。
だって…この状態じゃ、付き合っててもそうでなくても同じだよ。
寧ろ、それのほうが辛い。
だから…決着つけなきゃ。


「――」


決心して、私は立ち上がった。
そして、テニスコートへ走った。
すると、丁度終わったところだったみたいだった。
人込みの中から、お目当ての人は一瞬にして見つかった。

「リョーマっ!」

「あの…帰る準備できたら、桜の木の下、来て?」
「…分かった」

それだけの会話で、私達は一旦別れた。




待ってる間、私は昔のことを思い返してみた。
告白したとき。
桜の木の下に来てくれって手紙を出して。
待ってる間は…それはもうドキドキだった。
心臓が口から出るかと思った。
大袈裟じゃなくて、本当にバクバクいってた。

今は…どうだろ。
逆に、今は落ち着き払っている。
なんでだろう。不思議…。



「リョーマ…」
「…なに、なんか話?」
「ん……」

リョーマは、私の横に腰を下ろした。
二人で木に寄りかかって、遠くの空を見た。

夕陽が、とても大きかった。


「…で、なに、その話って」
「うん…あのさ、リョーマって…その、
 私のこと、どう思ってるの?」
「――」

質問に対して、リョーマは意表を衝かれたかのように、
目を大きく見開いていた。

「どう思ってるって言われても…」
「はっきり答えてよ!」

視線を逸らすリョーマの方の両側を、私は掴んだ。
すると…リョーマはまたあの表情をした。
手を繋いだときに見せる表情みたいな、
少し眉を顰めて、切なそうな表情。

リョーマは何も言ってこなかった。
視線が結びついたような状態のまま、およそ3分間。
リョーマの肩に乗せた手が、震えるのさえ感じた。

そこでリョーマが取った行動はというと…

「離してよ…」

私の手を、振り払った、のだ。


「…っ!!」


その瞬間、私の中で何かが爆発した。


「リョーマの…ばかぁっ!!!」
「!?」

目と口をぽかんと開けるリョーマを他所に、
私は全てを吐き出した。


「リョーマのばか!バカバカバカ!バカ掛ける無限!
 なによ、いつも飄々とした余裕の表情見せちゃって!
 こっちの身にもなって見なさいよ!いつも…アプローチするのは私ばっかで、
 好きだっていう態度見せようともしない!それで不安にならないわけ無いでしょ!?
 私はリョーマのこと大好きなのに…空回りしてるみたいなんだもん!
 付き合ってるのに、心が通い合ってるのか分かんないよっ!」


そこまで一息で全部言い切った。
自分の声が震えてるのが分かった。
涙が滲み出てきて、リョーマの顔が一瞬霞んだ。

「……っ…っ!」

冷たいものが頬を伝って、
涙は滲んでいるだけではないや、と漸く意識した。

視界が揺れる。

どんどん溢れてくる涙を流しっぱなしにしたまま、
もう一度空気を肺一杯に吸い込むと、
天国から地獄まで届くんじゃないかってぐらいの大声で、叫んだ。



「リョーマの、バカぁ〜〜〜!!!!!」



思いっきり叫ぶと、一体自分がなにに対して怒っていたのか
忘れるくらいすっきりした。
いや、いけないいけない。
リョーマが好きって言ってくれないから…だから怒ってたんだ。そうそう。

そう思っていると、仰天していたリョーマは、
ぶすっとした顔になり、私の頭にチョップしてきた。

「あてっ」
「…バカ
「な、なんですってぇ!?」
「仕返し」
「むぅ…」

言い返せないまま頭を撫でている私に、
リョーマは話を始めた。

「そういえばさ…昼休み、話の途中だったよね」
「…そうかも」
「じゃあ、俺からも一つ質問」


…なんだ?
リョーマから質問って…。


は、俺のどこが好きなの?」
「……へ?」


予想外の質問に、私は間抜けな声を出してしまった。

「な、なによ、今更…」
こそ。俺に訊いてきたんだから…答えてよ」
「…リョーマ?」
「答えてよ!」

珍しく、リョーマが声を張り上げた。
そのときのリョーマの表情は、真剣そのもので。
視線を背けずにいるのが、辛いほどだった。

なにを口にしていいのか分かんなくて戸惑っている私に、
リョーマは一つ溜め息を吐くと、言ってきた。

「自分だけが…相手のこと分かってないつもりでいるなよ。
 俺だって…不安、だったんだから…」
「………」

どういう、こと?
リョーマも、私に想われてるか、不安だったの?


リョーマは、口を開くとゆっくりと言葉を紡ぎ出してきた。
私は、それを黙って聞いていた。

「俺が…と付き合おうと思ったのは」
「……」
「はっきり言うと、気紛れだった」

……あ、そうですか。
気紛れ…ですか。

「誕生日、沢山の人から呼び出された。
 沢山の人からプレゼント差し出された。
 でも…俺は誰のも受け取らなかった」
「!?」

え、どうして……?
私のは、すんなり受け取ってくれたのに…。
もしかして、リョーマも昔から私のことをっ!?

に呼び出されたときも、受け取るつもり無かった」
「……;」

あ、さいでござあますか…。
まあ、構わないけどね…ははは。

「でも、表情を見て、気が変わった」
「表情…?」
「そう。…俺のこと呼び出してきたやつらと、一人視線が違った。
 他のやつらは…まるでアイドルの追っかけみたいな感じで、
 本当に俺のこと…好きなのかって、はっきりいって疑った」
「……」
だけ、視線が俺に真っ直ぐ向いてきた。
 本気の気持ちが伝わってきた。
 それで…付き合おうか、って思えた」

そう…だったんだ。
リョーマが私の告白をOKしてくれたのには、
そんな理由が…。

「それでも…どこか不安だった。
 本当に、俺のこと全部好きでいてくれてるのかって。
 見た目とか、外見だけで決めてないかって」

喋るリョーマの視線は真っ直ぐだった。

そうか…これが、本気の表情ってやつか。
確かに、伝わってくる。
リョーマが、真剣だってことが…。

「ねぇ、どうなの、
「私、私は……」

一つ唾をごくりと飲み込むと、私は話を始めた。

「正直…初めは外見に惹かれた。一年生であんな小さいに、
 レギュラーとして活躍してて、格好良いな、凄いな…って。
 そうして目で追ってるうちに、本気で好きになってた。
 細かい仕草だけでも愛しくなった。見るたびドキドキしてた。
 態度は素っ気無いけど、本当は凄く優しいって知ってる。
 今は外見だけじゃない。付き合ってもっとよく分かった…リョーマの性格。
 …大好き。リョーマのこと、足の先っぽから頭の天辺まで全部大好き!!」

全部言いたいこと言った。
私の本当の気持ち。
偽り無い、心からの本気。

それに対して、リョーマは…微笑んだ。
今まで見た中で一番、優しい笑顔だった。


 「俺も、のこと大好きだよ」


聞いた瞬間、私の目からは涙が溢れてきた。

「…泣かないでよ」
「だって、だってぇ…っ」

幸せで、しあわせで、シアワセ。
私、今世界で一番幸せかも…。
軽いかもしれないけど、そう思ってしまうのだった。

「ほら、暗くなる前に帰ろう」
「うん…」

太陽が地平線の彼方に消える直前、
リョーマに手を引かれて、私は立ち上がった。




  **




帰り道、長い長い影を後ろに引いて、私達は歩いた。
暫くすると、私の涙も落ち着いてきて、色々と喋ることが浮かんだ。

「そうだ…リョーマ、まだ訊きたいことがあるんだけど」
「なに?」
「なんで…手を繋ごうとすると嫌そうな顔するの?」
「………」

リョーマは、困った風な顔をした。

「ね、どうしてよ?」
「うっるさいなぁ…」

そう言って、リョーマは私と反対側に顔を背けた。

五月蝿いってなによ!?と言おうと思ったけど、
とあることに気付いて、止めた。

背けたリョーマの顔。
耳が、真っ赤だった。

夕日の所為で、頬が赤いことに初めは気付かなかったけど、
よく見ると、太陽に負けないくらい真っ赤だった。

「(そっか…照れてただけなのね)」

そう分かって、私はまた嬉しくなってしまった。


「んじゃ、それの話はいいからさ。…今日さ、
 結局ほとんど私と一緒に居てくれなかったじゃん!」
「それは、だって…」

リョーマはこっちに顔を戻してきた。
身長差の所為で、少し見上げられる。

「絶対に、受け取らないって決めたから…」
「え、なに?」
「だから、以外のは……なんでもない」
「ああっ、何それ!」

リョーマは、両方のセリフとも、語尾が小さくなってて聞き取り難かった。
でも…大体は分かった。

私からのプレゼント以外は絶対受け取るまいと、
一生懸命逃げ回っててくれたらしい。
…そう考えると、嬉しいのもそうだけど…。


「リョーマって…可愛い…!」
「…年下だからって子供扱いしないでよ」
「いや、決してそんな訳ではないのだけどっ!!」



幸せだった。

前には大きな太陽が今にも消えんとしていて、
その視界はとても美しくて。

右手は、大好きな人と繋がれてて。

心の中には、沢山の気持ちが詰まってて。



「ま、今日一日中一緒に居れくれなかった罰で、
 来月の今日は、ずっと一緒に居るんだよ!」
「言われなくとも」
「お、言うなぁコイツ!」

意気揚々に言うリョーマを、私は肘で小突いた。


…大好き。
本当に大好き。

そのことが確認できた、今日は本当にいい日だった。



  全ては、バレンタインの魔法が助けてくれたから。






















リョーマ編でぃす。妙に気合が入って長くなってしまった…。
毎度のことですが、リョーマ主人公は年上が良い。
個人的な意見ですが、結構世間でもそうみたいですね。

リョーマのストーカーを作ってみた。(笑)
多分、1年2組の教室を取り囲んでた集団辺りに、
朋香辺りが居るのでしょう。(笑)(赤面してる桜乃もセットで)

なかなかバレンタインっぽい作品に仕上がったかな、と思ってます。
(だってバレンタインの作品だし:てか自己満)


2003/02/11