* 極上甘味料 *












「…凄い賑わいだな」
「だね」

学校の帰り、肩を並べて歩いている大石と菊丸。
世界中が赤とピンクになってしまったのではないか、
と疑うほどに商店街はその色に染まっていた。

辺りを見回すと、どこかしらにバレンタインだの、ハートだの、
チョコレートだの、そのような言葉が目に入る。

商店街の中、菊丸はずっとキョロキョロしていた。
そして、横を歩く大石のことをじーっと覗き込んだ。

「ね、大石ぃー…」
「なんだ、英二。…もしかして、チョコが欲しいとか言うなよ」
「その通り!」
「……」

あまりにストレートな菊丸の態度に、大石は思わず苦笑するしかなかった。
ねっ、ねっ!と尻尾をパタパタと振るような態度で縋ってくる菊丸。
しかし、大石はその願いは受けなかった。

「英二、チョコレートってのは女が男に送るものだろう?」
「オレ男だよ?」
「俺も男だ」
「ぶー…」

頬を膨らます菊丸。
どうしも欲しいらしく、大石のコートの袖を掴む。

「大石ぃー、お願ぁーい!」
「だーめ」
「にゃんでよぉ〜…」

結局、大石は断固として受け入れず、
仕方なく菊丸はトボトボと大石の背中を追って歩き始めた。
そのまま後に続いていくと、大石はいつもとは違う道に入った。
そして、そのまま公園の中へと入っていく。

「…大石?なんでこんなところに…」
「英二」
「…にゃに?」

菊丸が疑問を持って訊いたとき、大石は足を止めた。
同様にして菊丸も止まる。
すると、大石は振り返ってこんな事をいった。


 『英二には、チョコとは違う甘さを教えてあげるから』


そして、次の瞬間は。

甘い甘い、キスだった――。


「///!?」
「どう、満足した?」

驚く菊丸に対し、飄々とした態度で問う大石。
菊丸は、真っ赤にした顔を、一つ頷かせた。

その菊丸を、愛しそうな目で見ると、
大石は体で菊丸を包み込んだ。

そして、耳元で一言呟いた。




  "Happy valentine..."






















砂糖とは違うキスの甘さ。むふんv(やまれ)
大石をちょっと黒く。菊はあくまで純粋に。
大菊はラブイなぁ。げへげへ。(変態)

とにかく甘々にしてみた。砂糖吐けます。(?)


2003/02/02