* 月の終わり *
-misty heart-
「………」
菊丸が部活に来なくなって、何日経った?
そして先日、何が起こった?
俺は、全て理解しているつもりだ。
…なのに何故、時計を確認してしまうのだろう。
後ろを振り向いてしまうんだろう。
***
「おっはよ、いーぬい!」
「お早う。ここに今来るということは、
今日は昨日に比べて家を出るのが約6分遅かったな」
「あ、ばれたー?実は今日寝坊しちゃってさー。これでも走ってきたんだけど」
「…今日の朝ご飯は和食か?」
「ゲッ、なんで分かるの?」
「…ほっぺにご飯粒」
「え…あー!!!」
***
「……ふっ」
過去を思い出して、自分で苦笑する。
もう、戻っては来ない過去。
分かっている。分かってはいるのだけれど。
それでも、何故か後ろを振り返りたくなってしまう。
また、笑顔を向けて走ってくるのではないかと。
何故、こんなにも感傷的になってしまうのだろう。
…あいつに最後に立ち会ったのが自分であるからか。
それとも、心の中で大きな割合を占める存在だったからか。
菊丸の笑顔が目に浮かぶ。
はしゃぎ過ぎる彼を宥める大石が見える。
もう、有り得ないとは分かりながら。
大石の死から、一ヶ月。
菊丸の死から、数日。
失ってしまった、大切な者。
出来た大きな穴は、どうすれば埋められるのだろう。
自分のノートを開く。
要らなくなってしまった数ページを、捨てたくても捨てられずにいる。
いや、捨てたくないのかもしれない。
それすらも、分からない。
この曇った気持ち、濃い霧は、
いつになったら取り払われるのだろう――。
the thick mist has closed up the heart...
乾さん、自問自答。
ポエムチックだぜ。
なんか、悟ってます。この方
いいんです。それが乾さんなんです。(謎)
乾は保護者的に凄く英二のこと気に掛けてたと思うんですよ。
無邪気な笑顔がねー。思い出すと切ないのさ。
登校中振り返るというのが書きたかったの。
たまに、忘れ物してないかなーとか、
後ろ振り返りたくなりません?
2003/01/18