* 空模様/心模様 *












「見ろよ、夕日だぜ」


宍戸は鳳の方に寄り掛かりながら言った。

プライドが高く、後輩の肩に凭れ掛かるなんて
普段の様子からは考えられない宍戸だが、
鳳のみには心を許しているのかなんなのか、
最近はそうすることが当たり前のようになってきている。

自分より、全然体の大きい、後輩。


「ホントだ…綺麗ですね。明日は雨かな」
「お前…現実主義なのな」
「そうですか?すみません。昔夕日が赤く見えた次の日は雨が降るって祖母に聞いたんで…」
「はは、それもお前らしいな」
「そうですか?」


鳳は自分に体を預けて見上げてくる宍戸を見た。
一見厳しそうに見える宍戸。
しかし、こうしているとそうは思えない。
その行動自体、自分は信頼してもらえてるのかな、と鳳は思った。

突っ張り気味だけど、本当は優しい、先輩。


「でも…明日は晴れると思うぜ!」
「え、なんでですか?」


不思議そうな顔をする鳳に、
宍戸はにかっと笑って言った。


「なんとなく、だ」
「……宍戸さんらしいっスね」


それに対し、鳳も微笑した。

なんとなく。
それほど曖昧でも、いいのかもしれない。
そう思ってしまうのだった。


「つーかさ、希望なんだよな」
「え?」
「だって、雨降ったらテニスできねぇじゃん?」
「…同感」



そうして、笑い合って。


それでいいのかもしれない。

それでいいんだ。

それが、いいんだ。



そう思ってしまうのだった。




「…明日、晴れるかもしれませんね」
「どうしてそう思うんだ?」
「夕日も、綺麗だし!」
「……お前、ほんといい加減なのな」


宍戸は苦笑いした。
それを見て、鳳は微笑んだ。
そして、言う。

「もう一つ理由、ありますよ?」
「おう、言ってみ?」


言いながら宍戸は振り返った。

すると――…、


 振り返ると同時の、軽いキス。



「………」
「何故かというと、俺がそう決めたから、です」
「何それ…お前、超いい加減…」


意地悪な笑みで言う鳳に、
宍戸は赤くなった顔を腕で隠して言い返した。

一息吐くと、鳳は空を見上げて言った。


「明日…晴れますよ、きっと」



一番星が見え始めた空を、
二人肩を並べながら、眺めた。

夕日は、地平線の彼方に、消えていった。






















今回は宍鳳ではなく鳳宍に挑戦…。
やっぱ、私には宍鳳の方が書きやすいことが判明。
(一作目からネガティブだなオイ)
でも、後輩攻って萌えますね!(マテコラ)

前回のもですがこの方たちどこにいるんでしょう?
私的設定では、氷帝のテニスコート近辺に
そこいら一帯が見渡せる素敵な穴場スポットがあるのです!(勝手に決定)

イメージ的にwalk onな感じ。部分的に。あの歌好きよ。

ところでありがちな題名だな。(汗)
被ってたらゴメンなさい。
ちなみに、明日の天気はご想像にお任せ。


2003/01/14