* 勝ちを掴む意味 *












部活が終わったあと、宍戸と鳳は学校に残っていた。
二人で、座って壁に寄りかかって話をしていた。

重々しい雰囲気の中、宍戸が口を開いた。

「お前、あの時跡部が来なかったらどうするつもりだったんだ?」
「……」

暫の沈黙の後、鳳は言った。

「俺は…レギュラーを下りるつもりでした…っ」

言葉が終わるや否や、宍戸は鳳の後ろに壁にダンと手を突いた。
宍戸の顔が突然近くに来て、鳳は驚いた。
冷や汗がたらりと流れる。

「お前は…それでよかたのか?」
「え?」

きつい眼光で睨んでくる宍戸に、鳳は一瞬言葉を失った。
気迫に押され、壁に強く体を押し付けながら鳳は言った。

「俺は…宍戸さんが努力をしているのを知ってます。あんなに、
 頑張ったのに…報われないなんて…耐えられなくて…」

言ってから見上げると、宍戸は拳を宙に出していた。
それが下りてきたので、鳳は反射的に目をぎゅっと瞑った。

しかし、伝わってきたのは軽い振動。

額にコツンと拳が当てられたのだ。
鳳は、当てられた額に手を乗せた。

「バカだな…お前」
「え…」

笑顔で軽く言う宍戸に、鳳は不自然ささえ覚えた。
ぱちくりと瞬きをしていると、宍戸は笑顔で言った。

「俺だって、知ってる。お前がどれほど努力してるか」
「でも、俺は…」
「いいから」

宍戸は申し訳無さそうな笑顔になって言った。

「俺は残ってお前だけ落ちたなんていったら、シャレに何ねえもんなぁ」
「宍戸さん…」

宍戸は、元の位置に座りなおして話を始めた。

「俺達、ダブルスだってな」
「ハイ…」
「こうなったらよ」
「?」

少しだけ悪戯な笑みで、宍戸は言った。

「見返してやろうぜ、思いっきり強くなってよ」
「はい!」

二人は、自然と笑顔が揃った。
すると、すっくと宍戸は立ち上がった。

「そうと決まったら、早速練習しようぜ!」

その言葉に、鳳も立ち上がった。


手に入れたチャンスは逃がさない。

そして、誰よりも強くなる。


「オラ、早く来いよ」
「はい!」



ラケットを持って、二人はコートに立った。

宙に舞ったボールが、暗い空の下、ライトアップに照らされていた。






















騒いでる割に初物だった宍鳳です。ってか氷帝初だわ。
結局宍鳳だったよ…鳳宍にあらず。
適度にラブく。適度適度。(そうか?)
なんか、この二人いいね。ふふふ。はまっちまうぜ。

やっぱり、心構えが違うんですよね。
ということを言いたかったそんなお話。
なんか似非くさいのはいつものことなのでご愛嬌v


2002/12/24