* 両手一杯の温もり *












 ――何にも包まれない手で、家を飛び出した。


「おっはよ〜大石!」
「おはよう英二…って、寒くないのか!?」
「んにゃ?平気だよー。ちゃんとコート着てるし」

オレは、前方に大石の後ろ姿が見えると、走って駆け寄った。
振り返る笑顔に満足する。
…と思ったら、突然向こうは驚いた表情になって。

「確かにコートは着てるけど…手袋はしないのか?」
「だってにゃんかさ、手袋ってまどろっこしいじゃん?」
「でも…指が冷たいだろう!?」
「え〜大丈夫だよ」

オレは冷たい風にさらされている手をぱたぱたと振った。
本当は凍っちゃいそうなほど冷たいけど、何ともないフリ。
手袋をつけない、それがオレのポリシー。

「良かったら手袋貸そうか?」
「ううん、平気だよ。それに、そしたら大石が寒いじゃん」
「まあ、そうだけど…」
「そういえば聞いてよ大石!昨日さぁ…」

大石は納得したようなので、オレは話を始めた。

吐く息が白く頬を擽って。
こっちを見てくる君の顔が優しくて。
でも、もっと近くに行きたいから――。

「…ね、大石」
「ん、なに?」
「えと…やっぱりさ、手袋貸してくれる?寒くなっちゃった!」
「まったく、だから言ったのに…」

オレは今思い付いた風を装った。
何も疑わずに、自分の手袋を外してくれる君。

「あ、大石、片方でいいよ!一個ずつしよ」
「それもそうだな」

そうして、差し出された手袋を君とは反対側の右手にはめる。
残っている体温が、とても心地良い。
でも、出来れば直接感じたい。

「それでさ、大石」
「ん?」
「…よっと」
「!」

宙を揺れてる君の手を探って、
そのまま、絡み合わせた。

「こうすれば、空いてる手も寒くないしねっ!」
「英二……そうだな」

二人の間を邪魔するものは、もう何もない。


 考えたんだ、どうしたら君に近付くことが出来るかって――。
























終わじ。甘々万歳!甘すぎて寒いほどだぜコンチクショー!
(仮につけた題名が『突発大菊甘々寒々話』だったり/爆)
菊が計画確信誘い受。つかぶっちゃけ煽り受。(何)
煽り受とは…誘い受や襲い受に近いけど、煽ってる感じ。(まんまじゃん)
誘うというより、相手を乗せてるみたいな。(あんま変わらん;?汗)
とりあえず私的にそんなイメージ。

これ思いついたのは…氷点下7度の中、手袋もつけずに徒歩25分間を
勇敢に登校した(ただの無鉄砲)な管理人のドリーム萌。(何)
へへ…本当は大石ドリームになるはずだったなんて、誰に言えようか…。(書いてる×2)
前もそんなのあったな。ドリームのはずが大菊になったの…。
(菊の性格が私的設定主人公に似てるのか?)

最初の一文と最後の一文は対になってます。一応。


2002/12/10