* ラッキーバースデー *
「千石、今日誕生日だったな!おめでとう」
「うん。ありがと」
「?」
部活の時間、部長で千石の良き友人でもある南が千石に声を掛けた。
もう彼らは引退しているが、高校でも続くということで、
練習には参加しているのだ。
ところで、お祝いの言葉を掛けたのに、
千石の反応はとてつもなく寂しい。
元々陽気な性格の彼だったが、何故か今日に限って元気がない。
「千石、どうかしたのか?」
「…くつくん」
「…は?」
「亜久津クンがいないんだよ!さっきから探してるのに!」
「……そうか」
「そうか、じゃないよ南ぃ!」
突然千石が大声になったので、
南は微妙に引いた。
そして、あー…と、本日のことを思い返した。
「そういえば、今日あいつ午後の授業から出てなかったな」
「マジ!?体調悪いとか?」
「あいつに限ってそれはないだろ。
どうせ、屋上かどっかでサボってたんじゃないか?」
南がそういうと、千石はその瞬間、既に数メートル走り出していた。
「分かった!ありがと南!」
「おい、ちょっと待て!?部活は…」
「亜久津くん見つけたら帰ってくるよ!」
「…ったく。……見つけても帰ってこないんだろ?」
それでも副部長か、と思う南だったが、
とりあえず行かせることにした。
そしてその頃千石…。
屋上には辿り着いた、が!
……誰もいなかった。
「…マジ?」
冷たい北風が吹き抜けた。
ちょっと、千石は虚しくなった。
「…もう帰っちゃったのかな」
半分いじけ気味で転がっていた石を蹴ると、
思いも寄らぬ方向に飛んでいった。
気にせず屋上から出ようとすると…。
「…オイコラ、石ぶつけといてシカトかよ」
「あ、亜久津!」
千石は上から掛けられた声に反応すると、
そこに居たのは、捜し求めていた亜久津その者だった。
「そんなところにいたんだ!気付かなかった。
ひょっとして、オレってラッキー?」
亜久津は、屋上の入り口の上の給水タンクの陰に
もたれていたのだ。
丁度、下から見たのでは死角になる位置に座っていた。
「ね、上登っていい?」
「…ダメだっつっても来るんだろ」
「アタリ」
煙草をふかす亜久津を見、
千石は梯子を登ると亜久津の横に行った。
「よいしょっと」
「……」
隣に座る千石に、亜久津は目を合わさないように空を見上げていた。
しかし、千石のほうから亜久津の正面に回り込んだ。
「ねぇあっくつ♪ちょっと言いたいことがあるんだけど」
実は、千石にはちょっと考えていることがあった。
亜久津が、自分の誕生日を憶えていてくれてるかどうか。
まあ、憶えていないだろうな、とは思ったが、
とりあえずオメデトウぐらい言わせたいなと思った。
すると…。
「何もやるもんねぇよ」
「…え?」
「どうせ誕生日プレゼントの催促とか言うんだろ?お前のことだから」
そう言って、亜久津は煙をフー、と吐いた。
とても素っ気無い態度だったのだが…。
「あっくん大好きー!」
「お、オイ、抱き付くな!!!」
千石は、ひたすら嬉しかったりしたのだ。
本当に憶えているとは思わなかったから。
「憶えててくれたんだね」
「あ?」
「誕生日。てっきり忘れてると思った」
「……て、てめぇが無理に覚えさせたんだろ」
そう言って亜久津は顔を逸らした。
冷たい態度にも見えるが、千石は知っている。
それは亜久津の照れ隠しだということを。
「プレゼントなんていらない!だから、一緒に居て?」
「…嫌だっつったら?」
「それでも、居てもらう」
「……だろうな」
千石は亜久津の隣に座り直し、
亜久津の手を握った。
それは握り返されることはなかったが、
かといって、振り払われることもなかった。
「亜久津くんの誕生日ときも二人一緒に居たいね」
「…もう高校だろが」
「じゃ、高校でも一緒に居たいね」
「バーカ」
そんな他愛もない会話をして、二人は笑った。
なんだかんだいって、お互い傍に居られることは、
嬉しいことだったのだから。
よくわからね〜!(微笑)
ゴクアクのつもり。つもり。きゃっはっは!(マテ)
そういえば初だね。わ〜い。
キャラも二人微妙に似非くさいのがウリ。(待ちなさい)
なんか、話の中心がぶれてる気がする。まあいいや。(短絡思考)
私的に、千石くんは片想いチック。
激しくあーたんに迫る。
亜久津は、普段は人を寄せ付けないけど、
千石にはそれなりに心を開いていて、まあ友達ではあると。
そんな関係。
千石のBDということで書かせていただきました。
2002/11/25