* 生き地獄�U死に天国 *












　暗い森の中。

　声を潜めて。
　気配を消して。

　相手の存在を感じさせるものは、繋がっている手のみ。


　気付かれてはいけない。

　気付かれてはいけない。


　虫の声が聞こえるだけで静かなこの森。

　その中で、自分もそっと囁く。


　果てる先を探して――。




「大石…」
「ん？」
「このままでいいの？」
「……」

覗き込んだ大石の横顔は、困ったような、悩んでいるような。
とても微妙な表情。

オレは少しだけ強めの声で言う。

「最後には必ずどっちかは死ななきゃいけないんだよ！？」
「だから、仲間を探して逃げる手段を見つけようって…」
「そんなこと言って、結局もう二人殺した」
「……」


　そう、これはあの儀式(セレモニー)。

　プログラムと呼ばれるそれ。


　その法式から、通称はバトルロワイヤル。


　合宿先へ向かっていたバス。

　目が覚めたら、見知らぬ教室の中。

　プログラムの対象になったと聞いた瞬間、
　血の気が引くというのが分かった。


　何とか、こうしてパートナーに巡り合うことが出来たけど。

　正直、遇った瞬間撃たれたりしないか、心配だった。


　いつも共に過ごした者同士での殺し合い。

　愛する者も憎い者も皆同じテキ、敵、的。


　足掻く者、諦めきれない者、もちろん居た。

　しかし、現実は厳しく無情。



「恐れて話もせずに襲ってきたやつ、
　動揺のあまり切りかかってきたやつ」
「……」
「他にもたくさん居た。そのうち、二人を殺した」


　昨日まで、一緒にテニスをして、一緒に汗を流して。

　同じ時間(とき)を過ごしたやつら。


　今ではただの肉の塊。


「だったら、さ……」
「それ以上は…言うな…」


少し声が掠れたオレ。
大石は、ぎゅっと抱き締めてくれた。

手を離して。
体全体で抱き締められて。
余計に寂しくなって。

オレ達は、涙を流した。
暗い森の中、声を押し殺して。


すすり泣く声は、虫の声に消された。

頭上の月が、今まで中で一番眩しく感じられた。


「もし一人になったら、英二が残れよ」

抱き締めてくるまま、大石が言う。
オレは、反発の言葉。

「何言ってんの！オレを残さないでよ！
　大石が死ぬならオレも死ぬ！！」
「英二…」


　そうだよ、二人で生き残る術など無いのなら。

　ならば、二人で同じところへ行こう。


　それが、逃げだと思われても。



お互いの胸にナイフを当てて。
固くて尖った物の感触を感じて。


「本当に、いい？」
「ああ」


　死の恐怖が無いと言ったら嘘。

　生きる希望を失ったといったら嘘。


　それでも、いつか人は果てるもの。


　目指す果てが同じなら、二人一緒に逝こう。

　例えそこが地獄だとしても。

　二人引き離される以上の地獄など有りはしないのだから。



「英二」
「ん？」
「さよならとは、言わないからな」
「もっちろん！また、後でな」


　最期を悟るとこうなのか。

　何故か心は辛くない。

　それどころか笑みが生まれる。


　少し捻れた、笑み。


「最後に、何か言いたいこととか、伝えたいこととかあるか？」
「あ、そうだね！今のうちに言っておこうか」


二人顔を見合わせて。
自然と言葉が揃ったとき。

お互いの胸に衝き立てたナイフを押した。



　『アイシテル』






















黒っ！怖っ！暗っ！！
恐怖です。うぎゃぁ。キリリクこんなので良いの？(滝汗)

えー…１００００ＨＩＴオーバーのリクということで
うにうに様に捧げさせていただいたのですが。
バトロワ大菊…アレ、菊大；？(汗)
いや、襲い受菊です。(有りかよ)　菊が黒すぎたー！(ミス！)
死にネタはどうせ裏行きということで了承得たので、
どうせなら〜とダーク…。(このダーク好きめ)
こ、こんなのでよかったのでしょうか！？ちょっと怯え気味。
お気に召さなかったら書き直します〜；；

バトロワって色々夢膨らみますね、ホント。
いやぁ、結構楽しかったｖ(ぉょ


2002/11/21