* 見つけた仲間 *












テニスは、楽しいのか分からない。
親がテニスを習っていたから小さい頃からやり始めた。
でも、そこまでやる気は無かった。
ほとんど、事務的なような感じでやっていた。

それは、面白と思うこともあったけど、
でもほとんどが退屈だった。
自分から進んでやる気分はしなかった。
やれと言われたからやる、
それだけだ。


中学に入って。
学校に、テニス部があった。
他に入りたいと思うものもなかったし、
とりあえず、仮入部にだけ行った。

見てみると、予想通りとなんというか、ヘボいやつらばっか。
対して上手そうにもないやつが部長面して(実際部長なんだけど)威張ってるし。

(やってられないや…)

そう思って、途中だけど仮入部だからいいや、と思って帰ろうとしたとき。
仮入部の一年は試合をすることになった。
帰ろうとしたのに、どこへ行く、と呼び止められたし。
仕方ないから、残ることにした。

実際試合を始めようとしたら、
相手はルールも分かってないような奴。
全く、どうしてこんなことになったんだ…。

そんなことを思いながらも、
この状況から試合はやらなきゃいけない。
だから、一気にけりをつけてやった。
消化試合だ、手加減なんかしない。

「す、すごい!」

何故か、みんな妙にざわつき始めた。
大したことやってないのに。
君たちが弱すぎるんじゃないの?


「おい、新入生」
「――」
「俺が相手だ」

気付けば、部長と試合をすることになってたし。
どんなもんかと期待したけど、やっぱ対したことなくて。
結局、僕があっさり勝ってしまった。


(やっぱり、つまんないや…)


「君!」
「?」
「是非、是非ともうちの部に入ってくれ!
 そうすれば一瞬にしてエースだ!!」

顧問なのか、なんだかよく分からない男にそう言われた。
でも、僕は肩に乗った手を振り払った。

「興味ないんで」
「何?仮入部は何のためだったんだ!?」
「入るか入らないかを決めるための仮入部でしょう?」

そう言い残して、僕はコートを後にした。
そして、それ以来そのコートに足を踏み入れることは、なかった。




つまらない。
つまらない、つまらない。

何故かイライラして、

でも、なんとなくテニスが気になって。
学校が終わると、近くの公園で壁打ちをした。

面白くない。
面白くない、面白くない。


もっと、刺激が欲しい。



そう思っていたときのこと。
突然の、誘い。


『聖ルドルフ学園に来てみませんか?』


とにかく退屈していた僕は、
この誘いを受けた。
少し胡散臭い気もしたけど、
つまらな過ぎるこの日常から抜け出すには最高の言い訳だった。


 **


実際、聖ルドルフ学園へ来て。
俺より上手い奴も、居た。
一瞬にして負かされたけど、何故か楽しかった。

同じぐらいのレベルの奴も居た。
そいつとは、長い時間打ち合って、やっぱり楽しかった。
気も合いそうな、気がした。


僕はテニスが好きになった。
負けることもある今のほうが、
勝つことしかない過去よりもずっと刺激的だった。


変な仲間だけど。
一緒に居て、とても楽しい。
そんなこと、絶対に口には出さないけれど。
滅多に表情にも表さないけれど。

でも、僕は、こいつらが好きだと思うんだ。


「全国、絶対狙うぞ!」


部長の声が掛かった時、
僕たち聖ルドルフテニス部全員の気持ちは、
一つになった気がした。


上に見えたのは、
真夏の太陽、青い空。
























…え〜。木更津×柳沢のつもりで書き始めたのですが。
当初の予定と随分変わって、
気付けばただのルドルフ友情話になっていたと。(笑)
変だな〜。もっとだーねと絡むはずだったのに。どこで外した?
理由。二人は×じゃなくて&で繋ぐからだ。コンビだからだ。解決。

ところで木更津一人称って僕でよかったの?いいんだよね?(滝汗)
違ったらどうしよう…まあいいや。若気の至り。(最悪)

木更津BD記念で書かせていただいた。ちゃんとした他校物初だってば。すげー!

そして、木更津の過去が分かった今(2003年春現在)、
なんともいえない気持ちである。
そんな切ない小説。(痛)


2002/11/20