* secret is no matter *
「……」
オレ、たまに思うんだ。
不二って、すごい綺麗だよなって。
睫毛なんて女の子みたいに長いし、
腕だってすっごい細いし、
肌だって透き通るみたいに滑らかだし、
それに、なんかいい香りがする。
ある日の休み時間、
オレは次の授業の準備をしている不二に言った。
「ねぇ不二ぃ」
「ん、なに?」
「不二ってさ、なんかいい匂いがするね!」
「何それ」
そう言って、不二は笑った。
オレは、不二のこの笑顔がすっごい好きだ。
優しい感じが、すごい好き。
大好きなんだ…。
友達として付き合ってて、
笑顔が好きで。
それが…いつからだろう。
気付けば、恋愛対象に変わっていた。
おかしいとは、分かっていたけど。
それでも、好きなんだ…。
恋人同士なんて、考えたこともない。
まあ、本当にそうなったらいいなとは思うけど…
告白とか、そんなことはするつもりない。
今の状態でも満足してるし、
これ以上のことを求めて関係が崩れてしまうのは嫌だ。
友達のまま、このままずっと仲良く過ごしていたい。
そう思うんだ…。
でも、ある日お弁当を食べてる時。
綺麗な手付きでお箸を扱う不二に見とれてしまって。
ふいに口から零れてしまった。
『オレ、不二のこと好きだよ』
この、言葉。
言った直後、オレは焦った。
前では、不二が目を大きく開けて驚いた表情してる。
しまった、と思った。
ずっと隠してきた言葉、聞かれてしまったから。
でも、不二の口から出たのはこんな軽い言葉。
「僕も、英二のこと大好きだよ」
……良かった、と思った。
気付かれていない。
自分の本当の気持ちは、気付かれていない。
「オレたち、親友だもんね!にゃははっ」
「うん。そうだね」
笑ってその場を誤魔化した。
不二もまたオレにあの笑顔を向けてくれた。
気付かれては、いけない。
今の関係が崩れてしまうのを恐れるから。
親友のままで、満足だもん!
親友でいれば、恋人じゃなくったって、近くにいられる。
今のままで、幸せ。
******
「……」
英二を見てると、自分の中に黒い感情が生まれる。
僕は、英二のことが好きだ。
クラスメイトとして。同じ部活の友として。
…違う。
それを超えた、恋愛感情。
「ねぇ不二ぃ」
曇りのない表情で話しかけてくる君。
頭の中に渦巻く感情を押し込めて、
僕は笑顔を作って対応した。
「ん、何?」
「不二ってさ、なんかいい匂いがするね!」
「何それ」
表面上では柔らかな笑顔を見せておきながら、
体の奥では、今すぐにでも手に入れたいと心が疼く。
それでも、君の無邪気な顔を見るたびに、
行動には切り出せずにいる。
明るくって。純粋で。
強くは近付けない。
今の状況を、崩したくないから。
親友としてなら、いつまでも近くにいられる。
思いを告げてもしも突き放されようものなら、
僕はもう二度と君の前で笑えない。
今は、まだ笑っていられるから。
この笑顔が続く限り、僕は英二の傍にいたい。親友として。
…ある日、お弁当を食べている時のこと。
「オレ、不二のこと好きだよ」
「――」
英二に突然言われた言葉。
僕は、固まった。
まるで、自分の考えていることを読まれたような気がしたから。
でも、冷静に考えればそんなことありえない。
どうせ、英二はいつもの無邪気さで、
軽い気持ちで言ったんだ。
“友達として”僕のことが好きなんだって。
「僕も、英二のこと大好きだよ」
そう、笑顔で返した。
英二は、僕がこんなこと考えてるなんて、
思ってもみないんだろうな。
「オレたち、親友だもんね!にゃははっ」
「うん。そうだね」
ほら。親友として。
純粋に、好きでいてくれる、僕のこと。
その心を、踏み躙りたくないから。
僕は、今日もまた、笑顔を作る。
友達として共に過ごす限りは、
いつまでも、傍にいられるから。
笑顔を続ける限り、君は傍にいてくれる。
黒い感情を押し込めて、
自分に言い聞かせる。
今のままで、シアワセ。
遅くなってすみません;
6000HITリク『3−6小説』でした。
…ど、どないなもんでしょ?(滝汗)
今思えば36の表小説初なんで。(裏が先ってどうなの?/笑)
白不二の菊不二目指してたのに
黒不二の不二⇔菊になってしまった。
菊ちゃんも適度に灰交じり。
菊さんは素直に今の状況で満足してます。
不二さんは黒いの渦巻きつつも笑顔作ってます。
菊編だと微妙に切ない系のほのぼの片想い、
不二編はダーク風味なシリアス一方通行って感じ。
3−6はお友達が好きなのですが、
気付くと切ない片想いになってること多い…何で?
かっぴ〜さん、
こんなもので良かったのでしょうか〜;?
なんだか心配になってきた…。
悲恋風味だよ…どうしよ。裏行き?(滝汗)
ま、CPものはダークor痛すぎるネタ以外表…という
謎な基準があるので。(ほんとにな)
お気に召さなかったらすみません;
うぅ…ほのぼの書きたい…。
でもとにかく6000HITありがとうございました!
2002/10/23